逃亡者の末路

 

ジャンル:コラボ企画作品 / 公開日:2020/01/23 /

       

「57番。58番。59番………」

ぁぁ…今日も1日、地獄のような日が始まる。

朝、看守が来る前に目を覚まし、着替えを済ませ廊下に整列する。勿論寝坊は許されない。

我々に名前は無い。一人一人に付けられた番号で呼ばれ、管理される。

ここに収監されているのは、全員男だけだ。
大半は政府への反対運動に参加した人達で、10代、
20代の若者が多い。

数年前、世界で初めて「女性が男性をくすぐりで支配する」ことを認める法律が誕生した。
それに対して、「女尊男卑」ではないか、差別的ではないのかという批判が上がったが、政府に逆らったとして反対する者は片っ端から捕らえられた。

地下施設に連行され、政府の女性職員によって
毎日発狂するほどのくすぐり拷問を施される。

くすぐりという子供の遊びでも、四肢を大の字で拘束され、素肌を複数人の女性の手によって責められると誰もが泣いてごめんなさいをする。

いい大人の男性が、少し身体を撫でられて

『ぃぃぎゃぁぁぁぁぁっははははは!息が、いきできなぃぃぃしぬぅぅぅ!!ぎゃぁぁっははははもうひゃめてぇぇぇぇごめんなざぃぃぃぃゆるじてくださぃぃぃぃ!!!』

と泣き叫び許しを請う姿を見せしめとして全国に生中継で見せられる。次第に、表だって異を唱える男性は激減し、女性からの指示を集めた政府はよりくすぐり政策を推し進めていった。

男性をくすぐりによって更正させる施設がいくつも作られ、警察、行政のトップはくすぐりを極めた女性によって支配されることになった。

それから数年、今では「女性が男性をくすぐりによって躾なければならない」という法律ができ、
学校や家庭、職場においてもくすぐりという光景が日常になっていった。

男性は幼い頃から女性にくすぐりで躾をされ、学校であれ職場であれ少しでも悪い素振りを見せれば全裸で磔にされくすぐりの刑にされる。

思春期の男の子の場合、同級生の女の子に取り押さえられ、無理やり服を脱がされて磔にされる。
そして、沢山の女子に首筋や腋の下、お腹、太ももといった箇所や、乳首、おちんちん、お尻などの恥ずかしい所も容赦なくこちょこちょされる。

情けなく大きくなったおちんちんをフリフリさせながら、『許してくださぃぃぃもう二度と女の子に逆らいませんからぁぁぁぁ!!』と大きな声で叫ばされる。これによって男性は女性に逆らったらどうなるのか、身をもって教育されることになる。

授業では男性のくすぐり方や、暴れた場合の取り押さえ方などを女子に教える。男子には、「女の子のくすぐりには逆らってはいけない」ということを座学、実習を通して教育する。

その中で運動神経に優れ、くすぐりの上手な女子達は推薦によって大学へ行き、警察やテイックルセンターの職員、政治家、くすぐり拷問吏、くすぐり調教師への道を進む。

そうした世間の中で、勇敢にも政府に対して疑問を持つものも少なからず存在した。
革命を起こし、男女平等の世の中を取り戻そうというリーダーの元に、秘密裏に全国から有志が集まっていた。

そして、革命を起こす前日、基地に揃って作戦を立てているところに、政府の『秘密結社』に踏み込まれた。抵抗する間もなく全員取り押さえられ、牢獄へと連れ込まれた。

その場にいた人達はくすぐり拷問され、他の仲間の居場所を洗いざらい吐かされた。

『ほらほら、早く言いなさい?他の仲間はどこにいるのかしら?』

「んんんんん!んーーーーーー!!っっっんーーーーー!!!!!!!」

拘束され、複数人からくすぐったいところをねちねちと責められる。体力的にも精神的にも限界を迎えたところで改めて尋問され、洗いざらい白状してしまった。

その結果、潜伏していた仲間達も全員身柄を確保されることになり、この監獄へと連行された。

ここが一体どこなのか知る由もないまま、目が覚めた時には暗い独房の中で両手両足を大の字で拘束されていた。

目が覚めると、部屋に3人の女性が入ってきた。

「おいっ!ここはどこなんだよ!離せ!!」
混乱して叫びながら抗議する。
しかし、拘束具はビクともせず、虚しくガチャガチャという音が鳴り響くだけであった。

そんな様子をニヤニヤとした目で見つめる女性達。
ひとしきり暴れ疲れた様を見て、リーダーと思われる女性がこう言った。

『口の聞き方がなってない。マイナス1。
反抗した態度を示した。マイナス3。
この国の法律を忘れたのかしら?女性に逆らってはいけない。あなたは犯罪者なの。しっかりと教育してあげる。』

一人が足の裏に、もう一人がお腹の辺りに、そして、リーダーが腋の下に手を添える。

「ひっ!?い…いやだ…それだけは…くすぐりだけはやめて…やだ…ひぃひゃぁぁぉぁぁぁっはははははぎゃぁぁぁっはははははぁぁぁぁやめてぇぇぇぇぇおねがいしますぅぅぅぅぁぁぁっははははは!!」

『まずはかる~く、3時間かけて調教してあげる。ほら、ありがとうございますは?』

「そんなぁぁぁぁぁむりですぅぅぅぅぁぁぁっはははははごめんなざぃぃぃぃぃ!!!!」

最初の威勢は消え果て、泣いて許しを請う。
当然くすぐりをやめてくれる筈もなく、
きっちりと「3時間」後に気絶した。

目が覚めると、また全身をくすぐられる。

日に日に敏感になっていき、少し身体を撫でられるだけで絶叫させられてしまうようになった。

自分はまだ「軽い」処置のようで、反乱の計画を立てていたリーダーは「24時間」人の手や、マジックハンドにくすぐられ、既に廃人のようになってしまったらしい。

およそ1週間くらい経ったころ、ようやく調教の日々は終わり、一般的な刑務所のような暮らしをすることができた。

当然自由は無い。しかし、悪いことをしなければくすぐられることも無い。

自分と同じくここに連れてこられた仲間達も、すっかり反抗の意欲は消え失せ、くすぐりの恐怖を身体に刻み込まれ、調教されていた様子であった。

しかし、自分はまだ希望を捨ててはいなかった。

いつまでもこんなところにいたくない。
逃げ出せるチャンスはないか、必死に様子を窺っていた。当然、そんな素振りは一切出さない。

「いつか絶対逃げ出してやる」という意志だけが自分の生きる希望であった。

そんなある日、いつもと同じように刑務所の中で作業をしていると、あることに気づいた。

特定の時間になると、裏口の警備がいなくなる…。

見張りの交代のためであろうか、約1分ほど、
「誰もいない」状況になっていることに気づいた。

交代の瞬間、隙を見て抜け出すことができれば、
外に出ることができるのではないか…。

しかしこの建物の外に高い塀がある可能性も考えられる。外にも見張りがいるかもしれない…。

だけど、僅かな希望に賭けてみることにした。

こんなところに一生暮らすなんてごめんだ!

そして、翌日。その時間の直前、お手洗いに行く振りをして裏口の様子を窺う。陰に身を潜め、警備が通りすぎるのをじっと待つ。

気づかれたら終わりだ…。

ドクッ、ドクッ、ドクッ…

心臓の音が聞こえる。必死に息を殺す。

よし、今だ!!

一気に裏口へと走り、鍵をあけて外に走り出す。

すると、たまたま近くを歩いていた警備の女性二人と目が合ってしまった。

『脱走者だ!!』

気づかれた…必死に走り出す。
建物が立ち並んでいる路地へと逃げ込む。

…だめだ!!行き止まりだ…!?

足がもつれ、転んでしまった。
そこに追い付いた警備の女性によって、取り押さえられてしまった。

『はい捕まえたぁ♪』

『ふふっ、逃げ切れると思った?』

ぁぁ…希望が一気に消え去り、絶望の色に変わる。

後ろ手に押さえつけられ、すっかり抵抗する意志も無くなってしまった。

『ほんと馬鹿だよねぇ、君。脱走しようとしてたの、バレバレだったよ』

『君が逃げ出そうとしてたことは大分前から分かってたよ。それでわざと裏口の警備を薄くしてみたの。そしたら案の定引っ掛かってくれたってわけ。ほんと笑える。そもそもここ、島だし。仮にうまく逃げ切れたとしても、海を泳いでる間に死んじゃうかもね~。』

そんな……じゃあ、最初から、遊ばれていたんだ…

『大人しく更正したら帰れたかもしれないのに、ほんとうにお馬鹿さんだねぇ。君はもう生きて帰れないよ。ここで一生くすぐられるの。誰もいない独房の中で、たくさんのマジックハンドに朝から晩までこちょこちょされて生きていくの。死ぬこともできず、一生自分が犯した罪を反省してなさい。』

ガチャリ…。手錠を嵌められ、二人がかりで
くすぐりの牢獄へと引き摺られていった…。

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