引き出し屋

 

ジャンル:R-18小説 / 公開日:2020/02/09 /

       

仕事をやめてからもう5年の月日が流れる。
大学を卒業してから社会人として頑張っていこうという気持ちはあった。
しかし、半年後には会社を辞めてしまった。

周りの同期と比べて仕事が出来ず、毎日先輩に怒られる日々に耐え切れなくなり、気づいた時には辞表を提出していた。

そんな自分を見て両親は意外にも「ゆっくり休んでまた次の仕事場を見つければいい」と話してくれた。

その言葉に甘えて、今まで仕事に追われていて出来なかったような生活を送り出した。
夜遅くまでアニメを見て、酒を飲み、昼の12時まで眠る。

次第に生活リズムは不規則になり、夜型の生活になっていった。
部屋からはあまり出ず、コンビニすら行かなくなった。
欲しいものはネットから購入。平日誰もいない実家で自由に過ごす。

最初はゆっくり休んでから転職活動をする予定ではあったが、この生活を続けているうちにめんどくさくなってしまった。親には「もう少し休養が必要だ」と言い訳をする。

働かなくても生きていける環境に身を任せ続け、気づけば1年、2年と何もしない時間を過ごした。
さすがにこのままではいけないのではないか、これ以上親に迷惑をかけるわけにはいかないと思わないでも無かった。
だが、実際に行動に移すことはできなかった。

仕事を辞めてから人と直接交流する機会は無くなり、ネット上での付き合いが多くなった。
SNSや掲示板によるコミュニケーションを生きがいにして過ごす。

今の現状に対するやるせなさや苛立ちを、顔の見えない相手にぶつけてストレスを発散することもあった。

次第に親にも強く反発をするようになっていった。
そして、会話も無くなっていった。

ある日、いつものように夕方ごろに起きて、ネットサーフィンをしていると、部屋の扉をノックする音が聞こえた。

ドンドン、ドンドン!!
「ちっ…うるせぇな!何か用かよ!!」

いつもとは違う荒いノックの音に苛立ち、大声で叫ぶ。

『ねえ…お願いだから、扉を開けて…?』
久しぶりに聞く母親の声だ。

「開けねえよ!…ったく、飯なら外に置いとけ!!」

…しばらくして、外で何やらぼそぼそと話声が聞こえる。

そして、チェーンソーの音が鳴り響き、扉を無理やり破壊され、中にスーツを着た数人の女性が入ってきた。

「な、なんだよお前ら!ひ、人の家の扉勝手に壊して、何様なんだよ!!」

リーダーらしき若い女性と、20代前半に見える女性が4、5人ぞろぞろと部屋に入ってくる。

『我々は引き出し屋です。あなたのご両親に頼まれて、あなたを更生させるために来ました。
大人しく我々についてきてくださいますか?』

「は…?更生って、別に悪いことなんてしてないだろうが!それにどこに連れていくきなんだよ!!」

『あなたは5年前に会社を退職後、ずっと家に引きこもっている状態であり、その状況に対してご両親がとても困っているということで我々のもとに相談に来られました。そして、あなたを自律させ、更生させるための施設にこれからご同行してもらいます。…では、行きましょうか。』

「ふざけるな!!勝手に決めやがって!!更生施設?そんなとこ行かねぇよ!!」

『そうですか。では、仕方ありませんね』

女性が左手を上げて合図すると、その後ろにいた女達が一斉に襲いかかってきた。
後ろから羽交い絞めされて、地面に押さえつけられる。

両腕、両足の上に一人ずつ体重をかけて固定され、いくら男でも集団の女性には叶わなかった。

「くそっ!おいっ!はなっ、はなせよ!!」

精一杯暴れるが、力ずくで押さえつけられ逃げることは叶わなかった。

『まだ抵抗するんですね。疲れさせてあげますね』

顔に目隠しをさせられ、視界を奪われる。
殴るつもりなのか…?何をされるか分からない恐怖に少し身体が震えた矢先…

こちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょ
こちょこちょこちょこちょこちょこちょ~♪

「なっ、ひゃっっぎゃぁぁぁっははははは!?ひぃぃぃやめっ!やめろぉぉぉっっぁぁぁ~っははははくすぐったいってばぁぁぁぁ!!!!!」

予想外の刺激に脳が混乱する。
小学生の時ぶりに受けるくすぐりに、我慢できず大声で笑ってしまう。

首筋、腋の下、脇腹、足の裏…
服の中に手を入れ、よく動く指でこちょこちょと容赦なく全身をくすぐられる。

『あれ~?どうしたんですか?さっきまであんなに強がってたのに、子供の遊びのこちょこちょで情けなく笑わされちゃって。ねぇ、今どんな気持ち?
いい大人なのに女性に押さえつけられて全身こちょこちょされちゃって、恥ずかしいですね~♪』

クスクスと馬鹿にしたような口調で煽られ、反抗しようにも強制的に笑わされ、喋ることを許されない。四肢を押さえつけられたままくすぐられ続け、暴れる体力と反抗する気力を徹底的に削りとられる。くすぐられるのがこんなにも辛いなんて…

くすぐられながら何度も何度も「ごめんなさい」させられる。そして、30分程くすぐられた後、
ようやく全身を責める手が止まり、その頃には体力を使い果たし、眠るように気絶してしまった…。

………
次に目を覚ました時、自分が知らない部屋で寝かされているのに気づいた。

身体にはまだくすぐりの疲労感と、筋肉痛が残っている。

身体を起こそうとした時、自分の両手両足が拘束されていることに気づいた。

「おっ、おい…!だ、誰か助けて!!」

掠れた声で助けを求める。すると、監視カメラから女性の声が聞こえた。
『あっ、起きました?今行きますね~。』

しばらくすると、ガチャリと鉄格子の鍵を開ける音が聞こえ、白衣を着た女性が5人入ってきた。

「お、おいっ!ここはどこなんだよ!家に帰らせろよ!お前らがやってるのは拉致監禁だぞ!!この!犯罪者が!!!」

混乱して思わず強い口調で抗議する。
しかし、先ほどくすぐられた時の恐怖を思い出し、すぐに後悔した表情が浮かぶ…。

黙って聞いていた白衣の女性だが、口は笑っていても目は笑っていなかった…。

そして、抗議の言葉が出なくなったところで、ようやく口を開いた。

『…言いたいことはそれだけ?』

あっ…怖い……

身体が震える。恐怖で言葉が出ない…

『あらあら、返事も出来ないの?大人なのに。それに、口の聞き方がなってないわね。連行班からはある程度調教したと聞いてたんだけど…。まぁいいわ。私が一から躾てあげる。それからあなたの質問に答えてあげるわ。…その怠けきった精神を徹底的に鍛え直してあげるから、覚悟しなさい?…返事は?』

「……は、はぃ……」

『返事が遅い。お仕置きね』

着ていたシャツを破られ、パンツ1枚の姿で拘束される。そして、足の裏に二人、腰のあたりに一人、両脇に二人がつく。

なにやら透明の液体を全身にかけられる。

「ひっ、ご、ごめんなさいごめんなさい…」

『今さら怖じけ付いたの?あなたには特別にローションを使ってくすぐり調教してあげるから、感謝しなさい?』

ぬるぬるとした液体を全身に染み渡らせるかのように手の平で塗られる。

それだけで充分過ぎる程くすぐったい…

充分塗り終えたのを確認すると、

5人が一斉に激しく全身をくすぐり始める。

「ひぎぃぃっ!?ぎゃぁぁぁぁぁっはははははは!!!ぁぁぁぁぁぁひゃめへぇぇぇぇぇぁぁぁぁぁぁっははははははじぬぅっぅっ!ごめぇぇごめんなざぃぃぃぃぃぁぁぁっはははははは!!」

ローションでぬるぬるにされた足の裏を、爪で激しくガリガリとくすぐられる。足の指を反らせるように固定され、土踏まずや指の付け根をこちょこちょと激しく責め立てる。

脇腹やお腹も指でこちょこちょとくすぐったり、横腹のツボをグリグリと刺激するようにしてくすぐられる。ローションによって痛みは無くなり、暴力的なくすぐったさだけが襲いかかる。

腋の下もそれぞれ窪みを指でさわさわと刺激され、時々首筋や乳首なども刺激される。

自宅でスーツの女性達に押さえつけられ、くすぐられた時よりも10倍はくすぐったい…。

すぐに呼吸困難になり、顔は涙や鼻水、涎でぐちゃぐちゃになった。

くすぐり殺される…

意識を失いそうになったとき、くすぐりの手が止まった。

「げほっ、げほっ、…っっはぁっはぁっはぁっ、」

必死に酸素を身体に入れようとする。

しばらくして、呼吸が落ち着いてきたところで、
再びくすぐったい指が身体に近づく。

「ひっ!ひぃぃぃぃぃもう、おねがいだからもうやめてくださぃぃぃぃ!!」

懇願も空しく、容赦の無い責めが再開する。

窒息し、気絶しそうになったら休憩させられ、
呼吸が落ち着いたら再び責められる…

拷問のような地獄の責めが3,4回繰り返され、喉が枯れて笑い声が出なくなった頃、ようやくくすぐりの手が止まった。

『ふふっ、いい顔になってきたわね。どう?少しは反省した?自分の人生に。』

「かっ…は…ぁぃ……」

肯定しようと、必死に首を縦にふる。

『あらあら、喉が渇いて声が出せなくなったの?仕方ないわね。水を飲ませてあげるから、感謝しなさい?』

顔を起こされ、ペットボトルの水を飲まされる。

「んっ、ん…んぐっ…ぷはぁっ、げほっ、ごほっ」

『……そろそろ、最初の質問に答えてあげる。ここはくすぐり更正施設。正確には、自律支援施設ね。あなたみたいな自由の意味を履き違えた大人を徹底的に躾直して、精神的な自律を支援する施設。
拉致監禁って言ってたけど、あなた普段新聞とかニュースとか見てないの?ここは国が認めた施設で、法律が変わったことも知らないの?つまり合法ってわけ。はい、質問には答えたから、躾の続きね。今度はちゃんと、気絶するまでくすぐってあげる。』

「ひぃぃぃ!?!?いや、いやだぁぁぁぁもうゆるしてくださぃぃぃぃぃぃ!!!!!!」

あれから1ヶ月ほど経ったあと、ようやく解放され、実家に戻ることを許された。

ただし、2週間以内に就職先を見つけることが条件だった。

幸いにも国の就職支援施設のおかげで新しい仕事に就くことができた。

くすぐり更正施設から解放され、新しい仕事も見つけ、ようやく”自由”な日々を過ごすことができるような気がした。

しかし、その代償としてくすぐりからは一生逃げられない身体になってしまった…。

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