いたずら

 

ジャンル:栞との思い出 / 公開日:2018/06/22 /

       

小学校のお昼休み。
お昼の給食を食べて、自分の机で顔を突っ伏してうとうとしていた。

相変わらずお喋りな幼馴染の栞の声が聞こえる…。どうやら女友達と何か話してるようだ。

「たのむから…昼休み終わるまで寝かせてくれよ…?」

昔から寝るのが好きな僕にとって、お昼ご飯の後のお昼寝は至福な時間だった。

自分が世界で一人きりになれる時間。
思う存分、自分の世界に入り込める時間。

「ん~…日差しが気持ちいな…」

幸い今日はいい天気!
教室の窓際、一番後ろの席は特等席だった

ん~…?急に教室が静かになった気がする
みんな外に遊びにいったのかな?
少しだけ…寝ようかな…

「こちょこちょこちょ~!!!!!」

「っっ!?あっひゃははははははは!!!!な、やめてぇぇ!!!!」

急に聞こえた栞の声とともに、無防備な脇腹に激しいくすぐったさが襲ってくる
完全に油断した…!

「あははは!!どう?びっくりした!?」

…はぁ、はぁ…
相変わらず机に付したまま、息を切らす。

「し、しおりぃ!!寝てるときにくすぐらないでっていつも言ってるじゃん!もうや…ひゃうっははははははは!!」

急にこちょこちょされて、眠りを妨げられたことへの僕の抗議は、再び襲いかかるくすぐったさによって遮られた。

「あれれ?もしかして怒ってるの~?
そんなに怒らないでよ♪もっと笑って?」

「ぎゃあっははははは!!や、やめろぉぉぉ!!ふ、ふざけるな…ひゃうっははははははははは!?」

椅子に座ったまま後ろから栞に脇腹や腋の下を激しくこちょこちょされ、腕を振って暴れようとしたけど、いつのまにか両腕をクラスの女子二人がかりで机に広げた状態で押さえつけられていた。左右から耳に息を吹き掛けられ、空いた手で首の後ろをこちょこちょ…

「こちょこちょ~♪動けないね~♪
ねえねぇ、まだ怒ってるの~?」

…寝てる所を無理やり押さえつけられ、笑わされるのは中々屈辱だった。
栞のやつめ…ゆるさないからな!!

「ひゃあっはははは!!だ、だれがぁぁぁっははははは!!ぜ、ぜったいゆるさないからぁぁぁぁっきゃははははは!!」

脇腹を揉みほぐされ、首筋をさわさわされると力が抜けてうまく話せない…!

「ふ~ん…そういうこというんだ。」

…ぜぇ…ぜぇ…?
くすぐっていた手が離れる。
や、やっとおわったのかな…?

「ねぇ、これな~んだ!?」

「はぁ…な…なにそれ…?」

首を上げて前を向くと、目の前で栞が何かを持っていた。
なにあれ…?クリアボトルに入った透明な液体……?

「ふっふっふ。これはねー。塗るとすごく
くすぐったくなるお薬なんだよ~?
すっごく肌が敏感になって、風が吹くだけでくすぐったいんだって~!」

「ひ…!?ま、まさか…、やだぁぁぁ!」

く、くすぐったくなる薬!?
や、やだ!!これ以上敏感になるなんて…

「どうしたの~?怖いの?大丈夫だよ~。私がいっぱい笑顔にしてあげるから!」

…頭を手で固定され、手で目隠しされる。

ぴとっ。

「ひゃうぅ!?」

突然、首の後ろにひんやりとした液体が落ちてきた。

「あ…ぁぁぁ!!」

首がゾクゾクする。ほ、ほんとにくすぐったい!!

「首、弱いもんね~。もっと弱くなっちゃったね。…今こちょこちょしたらどうなるのかな~?」

「ひぃぃ…ひっ、ぜ、ぜったいだめ!!や、やめておねがいだからぁぁ!!」

サワッ…ツーー♪

「ひゃっぁはははは!!?」

人差し指でそっと首を撫でられる。
それだけでもくすぐったい…!

「ど~う?くすぐったいでしょ~。
結構いっぱい垂らしちゃったから、たぶんと~っても敏感になってると思うよ♪」

耳元で栞が呟いている。
その声が、吐息すらもくすぐったく感じる

「も、もう勘弁してぇぇ。」

僕はすっかり弱気になってしまった。

「ん~。じゃあ、後5分こちょこちょしたら解放してあげるね!ちょっとくすぐったいかもだけど、我慢してね!?」

5分…な、ながいってばぁ。
こ、これ以上くすぐられたら、おかしくなるってば…

ぴとっ。

「ひゃぅぅ!!」

再び首筋に、今度は10本の指が触れる。
なんとか我慢しようと、力が入る。

ふ~っ♪

「ふっっ!?ひゃぁっははははははは!!!ぎゃぅっははははあっははははははは!!っやめぇぇえてぇぇ!!!!」

力が抜けた瞬間、10本の指がバラバラに動いて首筋を襲う。液体のせいか、いつもよりくすぐったく感じる

「こちょこちょこちょこちょ~♪
あ、あと10秒だよ、頑張れ~!!」

こんなにも長く感じた10秒はなかった。

キーンコーンカーンコーン♪

学校の予鈴の音と共に、くすぐっていた指が離れていった。

くすぐりの披露から、指一本動かせず、
ひんやりとした机におでこをつけていた。

両腕を押さえていた女子は離れ、机に腰を下ろした栞が頭を撫でながら話しかけてくる。

「くすぐったかった?ごめんね、実はこれ、くすぐったくなる液体じゃなくて、
ただの”水”だから♪びっくりした!?」

「み、みず…!?」

よ、よかった…水だったのか…

「あとで仕返ししてやるぅ…!」

「あはは!できるといいね!じゃあね!」

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