美容院

ジャンル:番外編 / 公開日:2018/04/28 /
「もう中学生なんだし、美容院行ってきたら?」
…中学生になって数ヶ月経ち、だんだんと毎日の生活に慣れてきたときのお話。
「う~ん…でもなぁ…」
少し気恥ずかしい。でも、お姉ちゃんや母に髪を切ってもらうのも嫌だし…
「何?もしかして美容院行くの恥ずかしがってるの?」
「いや、別に恥ずかしくないし!!一人で行ってくる!!」
お姉ちゃんにからかわれて、反射的に答えてしまった…。う~ん、仕方ない、行ってみるか!
「うん、じゃあとりあえず私がお金出してあげる。あ…そうだ。予約の電話、私がしてあげよっか?」
「い、いや、一人でできるからいいって!」
「そう?じゃあこれがお店の電話番号だから、ここに電話してね。」
お姉ちゃんから美容院の番号が書いた名刺を渡される。よ、よし、かけるか…。
「ふ~…。」
軽く深呼吸して、電話をかける。
プルルルル、プルルルル、
「はい、こちら◯◯美容院ですが…」
「あ、あの!か、カットの予約をお願いしたいんですが…」
若いお姉さんの声に、思わず声が裏返る。
「はい、お日にちはいつがよろしいですか?」
「今から行っても大丈夫ですか?」
「大丈夫ですよ~。…当店のご利用は初めてですか?」
「は、はい!」
「それでは、お名前お伺いしてもよろしいですか?」
「たちばなです!」
「はい、橘さんですね。それでは、お待ちしております。」
…ガチャ。
「ふぁぁ…。」
なんか、すごく疲れた。
緊張したぁ…。
「ふふっ、緊張しすぎ。はい、これお金。もし足りなかったら私に電話してね。」
お姉ちゃんに笑われた…。
お金を受け取り、逃げるようにして家を出た
家から美容院まで、歩いて10分くらい。
何度か店の前を通ったことがある、お洒落な雰囲気のお店。
「着いた…。」
お店の前で、もう一度深呼吸する。
意を決して、お店の扉をあける。
「あ、あの…たちばなです!」
「はい、お待ちしておりました。こちらへどうぞ♪」
初めて入るお店。夕方前の時間、お客さんの数は少なかった。
美容院のお姉さんに、案内され、シャンプー台のある椅子に仰向けに座らされる。
「それではまずシャンプーしますね~。
かゆいところあれば言ってくださいね。」
ジャー…水が流れる音がする。
「それでは、流しますね~」
シャカシャカ…
お姉さんが優しくシャンプーしてくれてる。
うちのお姉ちゃんもこの人みたいに優しかったらいいのに。
「橘くんは中学生かな?」
「はい!今年中学生になりました!」
「そうなんだね~、じゃあ…」
…色んな話をしている内に、だんだんと緊張は取れ、シャンプーが終わって。
「お疲れ様。髪の毛拭きますね~」
柔らかいタオルがかすかに耳に触れたとき
「ひゃう…!あ…」
思わず肩をすぼめ、すっとんきょうな声を出してしまった。
「あ、ごめんなさい、くすぐったかったですか?」
「い、いや、全然くすぐったくないです!」
かっこつけて答えたけど、小さい頃から母や姉、幼なじみにくすぐられまくった結果、全身敏感な身体になってしまった…。な、なんとかバレないように帰りたい
「ふ~ん、じゃあ続き拭きますね~?」
少し意地悪な声でそう言うと、タオル越しに耳や首周りばかりコチョコチョと拭いてくる
「あ!ひゃ…ん…くっ…んんん!!な、なんでそこばっかり拭くのぉぉ!!」
「よく拭かないと風邪引きますよー。あ、もしかして、くすぐったいの我慢してますか?」
「し、してないからぁ!」
そう返事すると、お姉さんはタオルをおき、耳や首筋を細長い指で直接こちょこちょしてきた。
「ひ!んん…くっ、うううはははははは!!ひゃめてぇぇ!!そこだめぇぇ!!」
「やっと笑ってくれましたね~。でも全然くすぐったくないんじゃないんですか~?」
頭を振って逃げようとするが、顎を片手で固定され、顎の下をさわさわとくすぐられる。
「ひゃひひひ!!く、くすぐったいですぅ!!ほ、ほんとに首はやめてぇぇ!!」
「さっき嘘ついたお仕置きです!しばらく首ばっかりこちょこちょしてあげますね~」
こちょこちょこちょこちょ~
耳元で「こちょこちょ」という言葉を繰り返され、その吐息が耳にかかる
「ひゃあ!くぅぅぅぅあははは!!!ひぃん!こ、こちょこちょいわないでぇぇ!!」
「耳も敏感なんですね~。ふーっ!」
ビクッ!!
耳に息をかけられ、一瞬身体が跳ね上がる
「かわいい反応ですね。もっと苛めてあげますね」
「はぁ…はぁ…ひぃ…もう勘弁してぇ…」
お姉さんの指が首から離れ、もう終わりかと思った時
「はぁ…ひぃぃ!!それはやめ、あ…ああははははははは!!!ぬるぬるするぅ、ん!!んぶぶぶぶ!!んーーーー!!」
手にシャンプーを垂らし、ぬるぬるになった指で首を激しくこちょこちょされる。
また、一瞬お姉さんの胸が目の前に見え、顔が柔らかい感触に覆い包まれた。
「こちょこちょこちょこちょ~。どうですか~気持ちいいですか~?」
ああああぁぁぁ!!くすぐったい!!
滑りのよくなった指で首周りを爪を立ててこちょこちょ…息できない…けど、気持ちいいかも…
「…あら?興奮しちゃいました?
もっときついお仕置きです!と、言いたい所だけど、今日はこの辺で勘弁してあげます」
「え…はぁ…はぁ…はぃ…」
シャンプーのついた首や耳をもう一度濡れたタオルで拭かれ、ようやくシャンプーが終わった。
お姉さんに伸びた分の髪を切ってもらい終わった時。
「お疲れ様です~。いまからマッサージしますね~。」
またくすぐられる!!そう思い目を閉じて力を入れたが…
「もうくすぐらないので、肩の力抜いてくださいね。」
…今度は本当のマッサージだった。
気持ちいい…。ちょうどいい力具合で肩を揉まれる。
お会計を終え、帰るとき、
「今日はやりすぎましたね、ごめんなさい。くすぐったかったですよね…」
「あ、いや…あの…きもちよかったです…」
「本当ですか?じゃあ、また次も来て頂けますか?」
「は、はい!また来ます!!」
「ふふっ、お待ちしてますね~」
それから、このお姉さんにシャンプーとマッサージをしてもらうことを楽しみにして、美容院に毎月通うことになった。