かくしごと

公開日:2018/03/20 /
「ねぇ西片。私に何か、隠してるでしょ?」
「な、なんのことかなあ…高木さん?」
最近、西片の様子がおかしい。
私に会うと、妙によそよそしい。
私が話しかけても、
「あ、用事おもいだした~!」
とか言って走って逃げちゃう。つまんない。
もしかして西片、私のこと嫌いになっちゃったのかな。私がからかい過ぎたから、怒ってるのかな。もしかして、好きな女の子が出来た…とか?それにしてもやっぱり変な様子だし、今日の放課後、問い詰めてみよう。
「そ、それじゃあ高木さん、また明日…!」
「ねぇ。どうして最近、私のこと避けてるの?」
「避けてる…?ハハハ。た、高木さんの勘違いじゃないかい?」
「じゃあ今日一緒に帰ろ?」
「いや…ちょっと用事があって…」
あやしい。西片は本当に嘘が下手。
私と目線を合わせないのがその証拠。
さて、どうやって聞き出そうかな~。
西片が少女漫画好きなことクラスにバラすって、脅してみる?
う~ん。あんまり面白くないか。
あ…そうだ!いいこと思い出した!!
確か西片の弱点って「脇腹」だっけ。
この前人差し指でちょっと脇腹つついただけで、「ぎゃはー!!」なんて笑ってたっけ。
あの顔思い出しただけで、こっちまで笑いそう。
「た、高木さん?何でニヤニヤしてるの?そ、そろそろ帰るね~。」
「ねえ西片。シャツにゴミ引っ付いてるよ?取ってあげるね?」ツン
椅子から立ち上がろうとした西片の右脇を、ちょっとつついてみる。
「ひゃぁうぁ!!た、高木さん!いきなり
脇腹つつかないでよ!!」
くすくす。変な声。本当に西片はいい反応してくれるなぁ。だから、もっとからかいたくなるんだよね。
「ん~、反対側にもゴミ付いてるよ?」ツンツン
西片の後ろに立って、左脇をさっきより強めにつついてみた。
「あひゃひゃ!!や、やめてよ!て、ゴミなんて付いてないじゃん!!」
「え~?付いてると思うんだけどな~?」
両指を西片の脇腹にセットする。
そして耳許で小さく呟いてみた。
「ねぇ西方。最近私に何か隠してるでしょ?正直に言ってくれたら、手を離してあげる。話してくれないなら…死ぬほどこそばしてあげる。」
「ひゃう!た、高木さん、お願いだから離れて~!!」
「ふぅん。言わないんだ。じゃあたっぷり笑ってね、西方♪」
「あ、ぎゃぁぁははははは!!!!ひゃぁぁぎゃひぃやぁ!!!たはははは!!高木しゃん!!やめへぇぇ!!あひゃひゃ!!死ぬぅ!!く、くるしぃ!!あぁぁははは!!」
西片の脇腹を、これでもか!って言うくらい力強く揉んでみる。西片のこんな声聞いたことない。本当に苦しそうに笑ってるけど、西方が私に隠し事なんてするからこうなるんだよ。その罰。もっとこそばしてあげなきゃ♪
「あひぃひゃははははは!!!ぎゃぁあははははははははは!!やめ、やめてよ!あぁぁ!!た、たかぎさん!!もう、ひゃだぁぉぁ!!くるしぃ!!あはははは!!」
暴れて椅子から転げ落ちた西方が、うつ伏せになって私から逃げようとする。だから、腰の辺りに馬乗りしてみた。絶対逃がさないし、西方が話すまで脇腹から手を離さないから。
「こしょこしょ~♪ねぇ西方。そろそろ話す気になった?」
「ひぃぃあははははは!!いひやぁはは!!!ははははは!!はにゃ!!はなさないぃぃ!!言わない!!」
「ふ~ん。まだ頑張るんだ。じゃあ、これでも話さないの?」
西片の脇腹とあばら骨の間くらい…?
そこにある「ツボ」を、10本の指で思いっきりグリグリ押し込んでみる。
すると、ほんとに「ビクン」って体が跳ねて、笑い声がもっと大きくなった。
暴れる西方から、振り落とされないように、
背中に寝そべって押さえ込んでみる。
…西片の匂いがする。少し、汗の匂いかな。
ずっとこうしていたいけど、そう長くは持たなかった。
「たか!!たかぎさぁん!!!はなす!!話しますからぁぁぁはははははは!!もうやめてぇぇ!!ぎゃぁぁぁ!はははははは!!!なんでもはなしますからぁぁぁ!!!」
…そうだった。西片の隠し事、聞くんだった。仕方なく、私は手を止めた。だけど、すぐにこそばせるように両手を脇腹にセットする。
「それで?何を私に隠してたの?」
「ぜぇ…はぁ…はぁ…そ、それは…」
「何?早く言わないと…」
「言う!!言います!…えっと、高木さん、誕生日、おめでとう!!実は…高木さんにサプライズしようと思って、ここ数日考えてたんだけど、結局何も思いつかなくて…。だから、中々言いずらかったんだ…。ごめん。」
西方。私の誕生日、覚えててくれたんだ。
「そうだったんだ。西方、私に何か、プレゼントしようとしてくれたんだ。」
「う、うん。た、高木さんは何か欲しいものとか、して欲しいこととかある…?」
「う~ん。じゃあ…」
また今度、西方の脇腹、ツンツンさせてね♪