お昼寝

 

ジャンル:栞との思い出 / 公開日:2018/02/25 /

       

「ん~…今日もいい天気だ…春だねぇ…!」
「だねぇ…ふぁぁ…ねむくなってきたかも」

春休みのある日。冬の寒さから、だんだんと春の柔らかな陽射しに包まれるころ、僕と栞は広い草原で寝そべっていた。気を抜くと、このまま寝ちゃいそうかも…。

「ねぇ、少し寝るからおこして…すぅ…すぅ…」
「え…?って栞もう寝てるじゃん」

隣をみると、気持ち良さそうな寝息をたてながら、右腕を下にして眠っていた。
しおりもうねちゃった…僕も少しねようかな……。瞼を閉じかけたが、ふと、いたずらしてみたくなった。

「栞って、こちょこちょ効くのかな…」

幼稚園の頃から栞には隙あらばくすぐられ、小学校に上がっても相変わらずことあるごとにくすぐられ、時にはクラスの女子も一緒になって身体中をこちょこちょされる時もあった。

ちなみに今までやり返したことはない。なんとなく、男の子が女の子の身体をくすぐるのはいけないことのような気がしていた。
また、やり返したらその後なにされるか…。
きっと数百倍返しにしてくすぐられるに違いなかった。
だけど…今栞は寝てるし、周りには誰もいない…!!日頃くすぐられた分をやり返す絶好のチャンスだ…!!

「う~ん…もう食べられないよぉ…すぅ…すぅ…」

…なに食べてるんだろ…食いしん坊なやつ…
栞の顔をみると、口許から少し涎が垂れていた。横を向いた状態から、うつ伏せになって再び寝息を立て始めた。

よくわかんないけど、今がチャンスに違いない…!!もう一度辺りを見渡し、誰もいないことを確認すると、ゆっくり栞に近づいた。
すぐ横に座り、脇腹に指をセットすると…

「ピクッ…う~ん…スヤァ…」
…まだ起きてはいないっぽい。
そして、10本の指で思いっきり脇腹をモミモミすると…!

「…ん!ひゃぁ!!あ、あははははは!!
ちょ、ちょっと!!やめなさいよ!!ひゃはははははくすぐったぃって!!!やめて!」

両腕を振り回し、足をバタバタさせて逃げようとする栞の腰の上に馬乗りになって、脇腹をモミモミ、こちょこちょし続ける

「なんだぁ、栞も脇腹弱いんじゃん!もしかしてここが弱点とか?」
「ひゃははははは!!ち、ちがうからやめなさいって!!!あはははは、あ、あとで覚えときなさいよ!!!ああははははははは!」
「そんなこといっていいのかなぁ?普段のお返ししてあげる!!」

脇腹から、脇の下に手を入れて、両手でこちょこちょしてみる。
「!!!あはははははは!!!やめてぇ!!お願いだから、もうやめてよぉ!!!ひゃはははははははは!!!」
「こちょこちょ~!ごめんなさいは?」
「ごめんなさぁい!!!もう!!あやまったから!ほんとにやめてぇ!!!」
「じゃあもう僕のこといじめない?」
「あはははははは!!!い、いじめてないじゃない!!もう限界だからぁ!!!」

その答えが気に入らなかったから、もう一度脇腹を強くグリグリモミモミしてみる。

「あはははははは!!!わかっ、わかったからぁ!!もういじわるしたりしないからぁ!!やめてぇ!!!」

一際笑い声が大きくなる。これ以上やったら可哀想だし、そろそろやめようと思ったとき…後ろから殺気のような気配を感じた。[newpage]
「………なにしてるの?」コチョコチョ
「うちの妹になにしてるのかなぁ?」グリグリ

「ひぃ!!ぎゃはははははは!!!」

突然後ろから首筋をこちょこちょとくすぐられ、さらに脇腹のツボをグリグリされて笑い悶える。その隙に両腕を掴まれ、片腕ずつ上に乗られて太ももで仰向けに押さえつけられてしまった。上を見ると、ジャージ姿のお姉ちゃんと、栞のお姉ちゃん[茜さん]が顔を覗きこんでいた。

「あ…お、お姉ちゃん…なんでここにいるの…?」
「なんでって、稽古の帰りに茜とバッタリ会ったから、寄り道して帰ろうと思ったら、あなたが栞ちゃんをいじめていたから止めに来たのよ。」
「い、いじめてなんかないって!!てか逆に普段栞にいじめられてるから!!」
「でも君が栞の身体に馬乗りになってくすぐっていじめてる現場、はっきり見ちゃったしなぁ…」ニヤニヤ
「そんなぁ、茜さんまで!!」

栞は、乱れていた息を整え、ゆっくりと僕の腰の上に馬乗りになってきた。
「わたし…ただお昼寝してただけなのに、急にこちょこちょされて、やめてって言ったのにやめてくれなくて、すごく怖かったの…」
うぅ…ぅぇ~ん!!!
栞は下を向き、手を顔で隠して泣き始めた。
「いや、違うって!誤解だってば…しおりさっき意地悪しないって言ったじゃん…!」
泣きそうなのはこっちだよ…。
それをみたお姉ちゃんたちは…

「………最低ね。女の子を苛めるなんて」
「しおり、大丈夫か、辛かったな…でも今からお姉ちゃんがこの悪ガキをお仕置きしてあげるから、栞も手伝ってくれるか?」
もはや何を言っても言い逃れできる状況じゃなかった。

「うん!!さっき脇腹と脇の下こちょこちょされたから、百倍返しにしたい!!」
そう言うと笑顔で、手をワキワキさせながら脇腹に近づけていった。
「な、泣いてないじゃん!!や、ごかいだからぁはははははははは!!あああぁぁ!!やめてやめてぇ!!!しぬぅ!!!!」

栞はニコニコしながら、さっき自分がやってたように脇腹をモミモミし、ツボを両手の指でぐりぐりと押し込んでくる。
死ぬほどくすぐったいけど、手を押さえられていて逃げることはできない…!!

「こちょこちょ~。女の子を苛めるような弟だとは思わなかったなぁ。私の躾が足りなかったのかしら?」
「こちょこちょこちょ!!妹を泣かせたこと、死ぬほど後悔させてやるよ!!」

お姉ちゃんはシャツの袖から手を入れて、右手で右の脇の下を直接くすぐって、左手で首筋を意地悪くこちょこちょしてくる!!

茜さんは反対に、左脇の下と、首筋をよく動く器用な指で死ぬほどくすぐってくる。
茜さんも、お姉ちゃんと同じくらいくすぐりが上手かった。

「ぎゃはははははは!!!あぁぁ!!もう、もうやめてぇ!!やめてってばぁ!!!」

こちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょ~!!
どんなに叫んでもやめてくれなくて、逆にますますくすぐりが激しくなる。

「ねぇねぇ?ごめんなさいは?」
栞が口を開き、笑い苦しむ表情を見つめながら聞いてきた。

「あははははは!!ごめんなさぁい!!もう、げんかいですからぁぁ!!!!やめてぇぇ!!やめてくださぃ!!!」

「う~ん、どうしよっかなぁ~、さっき私がやめてって言ってもやめてくれなかったしなぁ」コチョコチョコチョコチョ

「ごめんなさぁい!!ごめんなさぃぃ!!ぎゃはははははは!!!ゆ、ゆるじてくださぃ!!!!!」

「じゃあ、私は君のことをくすぐってもいいけど、君は私のことをもう二度とくすぐらないって約束する?」モミモミグリグリ

一段と栞の手が激しく動く。それに合わせるように、お姉ちゃんたちのくすぐりも激しくなった。3人がかりで涙目になるほど笑わされ、もう精神的な限界は越えていた。

「やくぞくしますからぁぁ!!!!ごめんなさぁい!!!!や…やめへへへへ…!」

「うん、じゃあ許してあげるね!」
その一言でパッと脇腹から手を離し、お姉ちゃんの指も離れた。

「げほっ…はぁ…はあ…くるしぃ…はぁ」

「あ~すっきりした!!私のことくすぐったりするからこうなるんだよ?わかったぁ?」

「ひぃ…わ…わかひましたからぁ…」

「もし次同じことしたら…どうなるか分かってるよね…?あとこれからもいっぱいこちょこちょして躾てあげるね!約束だから!」
恐怖を植え付けるように、目の前で見せつけるようにして手をワキワキさせている。

「ひぃぃ!!そんなぁ!!やだぁぁ!!」

「…あれれ?もしかして、もう約束破っちゃうのかなぁ?」コチョコチョコチョコチョコチョコチョ

「い、ぎゃはははははは!!!ごめんなさぁい!!これからもくすぐってくださぁい!!!あははははは!!」

「よろしい♪」

再び手が止まる。僕と栞のやりとりを見ていたお姉ちゃんたちは…

「…すごい。将来くすぐりの拷問師とか調教師になれる素質あるんじゃない?」
「…あぁ…わが妹ながら恐ろしいな…」

幼馴染みの栞との明確な力関係は、すでに、この頃からできていたのであった…。

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