栞×Karaコラボ小説企画

 

ジャンル:コラボ企画作品 / 公開日:2023/08/25 / 販売価格:1000円

       

栞執筆小説『走馬灯』

眩いばかりの白光。
気がついた時には私の視界に迫りきっていた。

身体がふわふわと宙に舞う。
都会の夜。冷たい雨が身に降り注ぐ。

何も聞こえない。
喧騒も、何も。

背中に伝う鈍痛。
硬いアスファルトに強く後頭部が触れた瞬間、目の前にゆっくりと見覚えのある映像が流れていく。

__ああ、死ぬんだ。私。

“バチ”が当たったのかなあ。
ふふっ、逆に笑える。

だってそうでしょう?
よりにもよって、忘れていた過ちを思い出すなんて。

割れたパズルのピースが、過去に出会った男の顔を作り出している。

ああ、みんな知ってる顔だ。
光の結晶に映る3人の男は、みんな私が”手を出した”相手。

これもまた、死ぬ間際の退屈しのぎに丁度いいか。
懐かしい走馬灯が見せてくれる映像に、私はゆっくりと意識を委ねることにした。

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**『一人目』

窓辺から暑い陽射しが差し込む夏の日。
私がまだ小学6年生だった頃の記憶だ。

夏休みのある日のこと。
私含む女友達4人と、クラスの男子2人で学校にあるプールへと遊びに行く約束をしていた。

人口の少ない田舎の小学校では、この時期になると地域の子供向けにプールを解放しており、日中はいつでも入れるようになっている。

約束の日。
蝉の鳴き声も陽炎の奥に霞んでしまう程の日光が照りつけていた。

待ち合わせ場所は学校の教室。
先生も生徒たちも誰もいない。

いつも見慣れた風景なのに、何だか非日常な空間にワクワクする。

集合時間は朝の9時。
少し早めに来た私の後に続くように、他の女子たちも教室へと入ってきた。

もうすぐ待ち合わせ時間だというのに、男子2人はまだ来ない。5分程遅れて、ようやく教室に現れたのは1人だけだった。

どうやらもう1人の男子は急遽体調不良で来られなくなったようだ。

早くプールに行きたい様子の男子を、私たち4人で取り囲む。
女子の1人が後ろから羽交い締めして、3人がかりで服やズボンを剥いでいく。

抵抗する男子よりも背が高くて力の強い女子に囲まれてしまえば、成す術も無いようだった。

突然の出来事に戸惑い、少し涙目になったような男子を優しく教室の床に押し倒していく。

両腕は真っ直ぐ揃えた状態で押さえつけられ、腕の上に馬乗りして太ももで挟み込むように固定される。

足首には1人ずつ女の子が上に乗って、無防備な足の裏へと指を這わす。

そして、私は男子の股間の上辺りに馬乗りしてニヤニヤと意地の悪い笑みを浮かべながら怯える目の前で指をワキワキと動かしてみる。

最近クラスで流行っている遊び。

こうやって1人の男子を女子数人で押さえつけて、全身を「こちょこちょ~♪」ってくすぐって無理やり笑わせる。

どんなに格好いい男子でも、生意気でも大人しくても、みんな同じように押さえつけて服の中に手を入れて素肌を直接こちょこちょするだけで情けなく笑い狂ってごめんなさいする。

その姿を見ていると、私まで涎を垂らしてゾクゾクと興奮してしまうの。

今もそう。他の女子たちは「遅刻した罰ゲームだよ」って戯れのように男子を執拗にくすぐり続けている。

私も、腋の下の窪みに指を這わせて指先でこしょこしょくすぐったり、脇腹をさわさわもみもみとお仕置きする。

「やめて」「許して」「ごめんなさい」

笑いながら言っても何の説得力も無いのにね。
ちょっと皮膚の上を撫でているだけなのに、女の子に負けちゃってごめんなさいして恥ずかしいね。情けないね?

人気の無い誰も来ない教室で夢中でくすぐり続ける私たち。
プール何かじゃなくて、最初っからこれが目的。

段々と笑い声も小さくなっていった時、私のお尻に何か固いものが触れるのを感じた。

腰から降りてみると、パンツの中で男の子のソレが大きくなっているのが見えた。

“こちょこちょされて情けなく興奮する変態には、お仕置きが必要だよね?”

私は10本の指で優しくこしょこしょと可愛がってみる。

他の女子も、首筋や腋の下、乳首、足の裏を容赦なくねちねちとくすぐり始め、笑い声と快感が混ざったような恥ずかしい鳴き声を上げ始める。

鼠径部を片手でさわさわしながら、薄い下着の上から厭らしいところをこしょこしょとくすぐり続ける。

勃起したモノを10本の指で余すとこなくさわさわして、先っぽを撫で撫でしていると、情けない断末魔を上げながら身体をビクッ、ビクン!と大きく震わせ始める男子。

まるでお漏らししたかのように、白いパンツにエッチな染みが広がっていく。

_何勝手に気持ちよくなってんの?許してあげないよ?

無理やりパンツまで脱がせてみると、大量の精子が床に垂れ落ちていった。

私は、たまに男子達がやってる”遊び”をしてみることにした。

素足になって、汚れた”ソレ”をブルブルと足裏で踏みつけるようにして刺激する。

その瞬間、まるで電流が走ったかのように笑い悶える男子。

他の女子と場所を交代しながら、押さえつけて全身こちょこちょとくすぐって、電気あんまして何度も何度も何度もイカせてあげた。

その遊びに味をしめた私たちは、夏休みが終わるまでの間毎日のようにその男子をくすぐって遊んでいた。

“女の子にこちょこちょされて興奮する変態”。
そう罵りながら、おかしくなるまでずーっとこちょこちょ。縄跳びで手足を縛りつけておかしくなるまでくすぐったり、空っぽになるまで射精させる遊び。

恥ずかしい姿をカメラに収めて弱みを握った私たちに、その男の子は逆らえないようだった。

夏休みが開けて、2学期が始まる初日のこと。

昨日まで私たちが遊んでいた男子は学校に来なかった。

次の日も、その次の日も。

最初は体調を崩したのかと思ったけど、どうやら不登校になっちゃったみたい。

噂によると、女の子にこちょこちょされるのがトラウマになったようで、外に出られなくなったんだって。

その頃にはもう、私たちはクラスの別の男子をくすぐって遊んでいたから、特に気にも留めなかったけど。

結局、卒業式の日もその男子は欠席した。

中学生になってからは、完全に音信不通。
時間が経つにつれて、記憶からも忘れ去られていった。

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**『二人目』

人をくすぐることの愉しさに目覚めていた私は、中学生になっても高校生になってもクラスの同級生や後輩、歳上の先輩や先生にまで手を出していた。

どんなにイケメンで格好いい男でも、美人で人気な女でも、私が少し身体の上をこちょこちょと触れただけでみんな泣きながら許しを乞う。その姿を見る度に、私の中の加虐心は燃え上がるばかりだった。

高校3年生になると、受験勉強に集中するため人をくすぐることを我慢しなければならなかった。

ストレスが溜まる。
大学生になったら、思いっきり発散してやろうと心に決めた。

何とか無事に第一志望の大学に合格した私は、高校卒業と同時に車の免許を取得しようと教習所に通い始めた。

4月の入学式。
私は早々に大学で彼氏を作り、清楚なフリを演じる。

初めての夜も、私は手を出さなかった。
我慢して、我慢して。

溜め込んだ欲望を、ようやく解放できる時を待って。

車の免許は夏休みに入る前に無事取得することができた。
親からはお祝いにと、軽自動車を買ってもらった。

別に、車自体は何でもいい。
ようやく計画の準備が整った。

大学の長い夏休み。
お盆の期間に、私は彼氏を「肝試し」に誘い出した。

あまり乗り気では無かった彼を上目遣いで説得。
今日の夜22時に出発する予定を立てた。

夏の夜。助手席に彼氏を座らせて、山奥にある幽霊が出ると噂の廃トンネルへと車を走らせる。

「白いワンピース」を着た女性の霊が出たという話を聞いて、私も同じ格好をしてみるの。

運転中彼氏にその話をすると、みるみると横顔が青ざめていくのが見えた。

高速道路を降りて、下道を走り続ける。
暗闇の中にポツリとコンビニの灯りが見えた。

少し休憩のため立ち寄ることに。
彼氏がお手洗いに行っている間、私はペットボトルの水を買って先に車内へと戻る。

戻ってきた彼氏に細工した水を渡す。
目的地までは後少し。

ふふっ♪おやすみなさい。

…完全に人気の無い場所。
噂のトンネル近くに車を停めて、助手席に座っている彼氏を万歳させて拘束。念のため、足枷もゆっくりと嵌めておく。

彼のベルトに手をかけて、パンツまで脱がせる。

雄のソレを片手で持ち上げ、口に含んでぐちゅぐちゅと舌でくすぐっていく。

「じゅるっ♡ちゅっ♡じゅるるっ…」

彼が起きるようにわざと厭らしい音を立てて、空いた手で脇腹をもみもみとくすぐってみる。

ピクッ、ピクッと身体が反応しているのを感じる。
どうやら目が覚めたみたい。

突然の状況に混乱したのか、急に暴れ始める彼の太ももの上に馬乗りして抵抗を封じる。

怖い?でも拘束されて逃げられないよ?
それに、心霊スポットに来てるから助けを呼んでもだ~れも来ないよ?

涙目になる彼を慰めるように、優しく耳や首筋をこしょこしょと撫でながらキスをする。

ゆっくりとくすぐっていた指を下に下に移動していき、シャツの中に手を入れて腋の下を容赦なくこちょこちょ。

私を彼の顔を覗き込むように、恐怖とくすぐったさでパニックになった情けない顔をたっぷりと堪能する。

ぁぁ。この快感。
私はこのために受験も性欲も抑えて来たんだって。

ニヤニヤと意地悪な笑みを浮かべながら、狭い車内でくすぐり尽くしていく。

“もっともっとくすぐったくて、恐怖と快感で顔を歪ませたいの”

耳元で囁くように呟くと、小さな声で「許して」って返してきた。そんなこと言えるの今のうちだよ?

ワンピースの下は何も身に付けてない。
充分濡れてきたのを感じると、彼のモノを無理やり勃たせて騎座位で犯していく。

彼が着ていたシャツをビリビリに切り裂いて、くすぐりやすい格好にしてあげる。

繋がったまま、彼の目の前で指をワキワキと動かしてみると、首をイヤイヤと振って喜んでくれた。

ゆっくりと腋の下へと指を近付けていく。
そして、ピタッと腋の窪みに指を這わせて…

彼の獣のような絶叫をBGMにしながら、本能の赴くままに腰を動かして腟内でぐちゃぐちゃにくすぐり犯す。

もちろん、くすぐっている指は止めない。
腋の下を嫌と言う程カリカリこちょこちょと責め立て、首筋を執拗に10本の指で撫でて可愛がる。

乳首を舌でれろれろと舐めながら脇腹のくすぐったいツボを揉みほぐし、徹底的にくすぐり尽くす。

限界が近いのか、小刻みに身体を痙攣させて情けない断末魔を上げながらイッちゃったみたい。

当然、許してなんてあげないしまだまだこれからだよ?

萎えさせる暇も与えず、イッたばかりの敏感な身体をねちねちとくすぐっていじめながら腰を動かしてさらに搾り取ろうと中で強く締め付ける。

“もう許して”
“お願い勘弁してぇ”
“おかしくなる、死んじゃう”

声にならない声で笑い狂いながら、必死にそのような言葉を吐き続ける彼。

五月蝿いから、彼の顔に私のおっぱいを押し付けて窒息させながらこちょこちょの刑。

本気で苦しそうな声を力ずくで抑えつけながら、腋の下から脇腹にかけて何度も何度もこちょこちょと素早く指で往復してあげる。

窒息死するという恐怖からか、雄の子孫を残そうとする本能のためか知らないけど、彼のモノが一段と硬くなったのを感じた。

私はトドメとばかりに脇腹のくすぐったいツボを責めながら、ぐちゅぐちゅと腰を動かしていく。

彼の身体が大きくビクン!ビクン!と2回痙攣した後、ぐったりとして全く動かなくなってしまった。

顔からおっぱいを離してみると、白眼を剥いて涙や涎でぐちゃぐちゃになった恥ずかしい姿で気を失っていた。

股の間から、彼の出した精液が垂れ落ちる。
汚れた白いワンピースを脱いで、彼に着せてあげる。

私はあらかじめ持参していた服に着替え、気絶した彼の拘束を外して助手席から外に引き摺り出す。

シーンと冷たい空気が流れるトンネルの前に彼を放置。財布も携帯も、車に乗せたままだ。

もし運が良ければ誰か助けてくれるかもね。

まあ、白いワンピースを着た”噂の幽霊”に襲われるかもしれないけど。

私も幽霊と一緒に彼をくすぐって愉しみたいな~と考えていたけど、やっぱりただの噂話か。

「じゃあね。さようなら。」

と彼に背を向けて、車の運転席に乗り込む。
時刻は午前2時を過ぎていた。

来た道をUターンして、明け方には無事自宅に戻ることができた。

あれから彼がどうなったのかは知らない。

まるで、彼は最初っからこの世に存在していなかったかのように、”行方不明”として記憶から消されていった。

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**『三人目』

大学を卒業した私は、都内でOLとして勤務していた。

自由気ままな学生時代は、毎日のように男をくすぐって玩んでいたけれど、社会人になると仕事の疲れもあり家に帰って寝るだけの生活。

新しい彼氏を作っても、欲望を抑えきれずに拘束して一晩中こちょこちょとくすぐっただけでみんな翌日には離れていく。

退屈で平凡な毎日。
だから、少しだけ我慢することにしたの。

最近付き合ったばかりのイケメン年下彼氏。
今年新卒だという彼には、まだ私がくすぐり好きという事は話していない。

多分、素直に話したところで上手くいく可能性は低いだろう。きっとこれまでのように、音信不通になるかもしれない。

だから、”逃げられないように”してしまえばいいと私は考えた。

何日も監禁してくすぐり漬けにしようかとも考えたけど、平日は私も彼も仕事があるから無理。

となれば、”既成事実”を作るしかない。
彼をホテルに連れ込んで無理やりくすぐり犯す計画。

婚約して夫婦になれば、いつでも好きなようにくすぐって独り占めできる。

金曜日の夜。
仕事終わりに繁華街近くの駅で彼と待ち合わせ。

喧騒を通り抜けて、予約してある居酒屋へ。

個室の中で乾杯をして、程よく酔わせておく。
私も酔ったフリをして、胸元をほどけさせる。

頬を赤らめて視線を反らす彼を今すぐにでも押し倒したい気持ちを堪えて、それとなく誘惑を続ける。

お店を出て、「少し休みたい」と言う私に連れられて、近くにあったホテルに入る。

彼が先にシャワーを浴びている間、私は鞄に隠していた拘束具をベッドに設置していく。

シャワーから上がり、恥ずかしがる彼にアイマスクを付けて目隠し。ベッドに優しく押し倒して、さわさわと身体を撫でながら手足を1本ずつ拘束していく。

気付いた頃には、大の字で動けない無防備な姿。

少し酔いから覚めたのか、目隠し状態で四肢を固定されたことへの恐怖感からか焦り始める彼。

もうとっくに手遅れなのにね。

どんなに格好良くて立派な男でも、こうやって抵抗できないように拘束されてしまえば無力な存在なんだよ?

試しに人指し指ですーっと身体の側面を撫でてみる。

情けなくて恥ずかしい奇声を聞いていると、何だか楽しくて私まで笑い声を出してしまう。

脇腹を両側からツンツンとつついたり、交互に5本の指先でさわさわとくすぐってみると、まるで壊れたおもちゃのようにクネクネと動いて逃げようとするの。

未だ目隠しされている彼の頭を掴んで手で固定して、「ふ~っ♪」と耳の穴に優しく息を吹きかけながら首筋をこしょこしょとくすぐっていく。

頭の先から足の爪先まで、全身を溶かすように優しく優しくこしょこしょとくすぐり、焦らずじっくりと感度を高めていく。

最初は怯えていた彼も、”そういう”プレイだと受け入れたのか、段々素直な喘ぎ声を出すようになってきた。

やっと準備が整った。

楽しみで愉しくて、じゅるり♪と涎が口元から溢れてしまう。彼の腰に馬乗りになって、ゆっくりと開かれた腋の下へと指を這わせていく。

ピクッ、ピクッと身体がくすぐったさを予感して震えている。もう我慢できない。

「こちょこちょこちょ~♪」っとまるで子供をあやすみたいにして思いっきり腋の下の窪みを指先でカリカリこちょこちょと素早く責め立てる。

その瞬間、狂ったように大きな口を開けて悲鳴のような笑い声を上げる彼。

手足に力を込めて必死にくすぐったさから逃れようと抵抗しているけれど、頑丈な拘束具は無防備な体勢を強制させたまま彼を離さない。

私もしっかりと腰の上に体重をかけて馬乗りし、弱いところをねちねちと容赦なくこちょこちょしていく。

首筋も腋の下も乳首もお腹も脇腹も、くすぐったさに身体を慣れさせないように場所を変えながらくすぐる。

情けなく涎を垂らしながら何度も何度も必死に「ごめんなさい」という言葉を発しているけれど、当然無視。

アイマスクの下から涙が溢れ落ち、苦しそうにくすぐったそうに口をパクパクとしている彼。

その恥ずかしい顔をもっと見たくなって、彼の目隠しを外してみる。

頭上へと座り直し、顔を太ももで挟んで固定して上からニヤニヤと見下ろす。

目の前で指をワキワキさせながら「こちょこちょ」囁いてみると、本気で怯えたような声で情けなく許しを乞う彼。

「男の子なのに我慢できないの?恥ずかしいね?お仕置きだよ?」って優しく叱りながら、腋の窪みに爪を当てて容赦なくカリカリと引っ掻くようにこちょこちょの刑。

私も今まで我慢していたフラストレーションを思いっきり解放するように、執拗に執拗にくすぐり続ける。

ふと顔を上げてみると、何故だか知らないけど彼のアソコが大きくなって興奮しているのが見えた。

「ふ~ん。そうなんだぁ?お仕置きのこちょこちょで興奮しちゃう変態なんだね。」

私は本来の目的を思い出して、恥ずかしい姿をスマホのカメラに収めていく。

“恥ずかしい写真、会社やネットにばら撒いちゃおっかな~?嫌?嫌だよねえ?”

“じゃあさ、私と結婚してくれる?”

“毎日たっぷり可愛がってあげるから♪あ、断ったら、どうなるか分かるよね?”

顔を覗き込みながら身体に指を這わせて脅してあげれば、後は簡単なことだった。

彼はすぐに喜んで結婚してくれるって約束してくれたの。

だから私は、こんな状況でも興奮したままのぺニスに跨がり、騎乗位でぐちゃぐちゃに犯していく。

今日着てきたお洋服は、あの時と同じ白いワンピース。

何だか懐かしい気持ちを感じながら、繋がったまま彼の脇腹をもみもみとくすぐり、膣に力を入れながらこちょこちょと搾り取っていく。

たったの10秒くらい。

あっという間に射精しちゃったモノを、再び搾り取るようにしてさらに激しく動きながらこちょこちょとくすぐる。

上半身を彼の身体の上に寝そべるように倒し、無理やりキスをして口の中も舌でくすぐり犯していく。

付き合ったばかりの歳上の女にホテルに連れ込まれて、嫌という程全身をこちょこちょされて、無理やり結婚すると誓わされてくすぐり犯される気分はどう?

射精したばかりの敏感な身体に指を這わせて、腋の下から脇腹にかけて何度も何度もこちょこちょと往復していると、彼の方から腰を突き上げて情けなくヘコヘコと動いてしまう。

ビクン!と一度大きく身体が跳ね上がり、最後に断末魔のような悲鳴を上げながらドクドクと射精してしまった彼。

それと同時に、私も絶頂に達してしまいだらりと彼の身体の上に倒れ込んでぎゅーっと抱きつける。

しばらく快感の余韻を楽しんだ後、彼の顔を覗き込むと息も絶え絶えになり、白眼を剥いて気絶してしまっていた。

このまま朝まで眠らせる程、私は優しく無い。

彼の身体から降りて、濡れタオルで付着した体液を拭き取る。

彼のズボンのポケットからスマホを取り出し、ロックを解除しようとしたけど、どうやらパスワードが必要みたい。

仕方ない。気絶している彼の頬を叩き起こしてみる。

目を開けて私の顔を見た瞬間、まるで恐いお化けをみたかのように「ひぃぃっ!」と悲鳴を上げる失礼な彼。

後でたっぷりとお仕置きしてあげなきゃ。

その前に…彼のスマホを目の前に差し出してパスワードを聞いてみる。

“自分で解除するから、お願いだから拘束を外してください”っておねだりされちゃった。

どうせ暴れる体力は無いだろうし、仕方なく私は彼の手首を拘束具から解放してあげたの。

_今思えば、それが私の誤りだった。

彼はどこにそんな力を隠していたのか、自由になった手で私を思いっきり突き飛ばして全裸のまま部屋の外に向かって駆け出した。

くすぐられて暴れている内に外れたのか、力ずくで脱け出したのか分からないけど、足首の拘束具が機能していなかった。

ベッドの下に背中から強く打ち付けられた私は、すぐさま彼を追いかけることができなかった。

「ふふっ♪面白いね。…もう絶対に許さないよ」

彼を追って私もホテルを出て、深夜の繁華街へと走り出す。

まだ遠くには逃げていないはず…

何やら騒ぎ声がした視線の先、全裸で街を走っている彼の後ろ姿が目に入る。

あんな姿で街を徘徊するなんて、私より先に警察に捕まりそう。いや…それはまずい…。

警察が信用するかは別として、もし彼が”私に襲われた”と証言したら…

危機感が募り、必死に彼を追って走り出す。

_だから、私は死角から突進してくる車に気づかなくて

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『epilogue』

意識はある。だけど、身体が重たい。

鉛みたいに、ドロドロと溶け出して深海の底に沈んでいく。

音も聞こえる。サイレンの音。救急車。

私の身体から、風船のようにふわふわと風に乗って離れていく……。お気に入りの白いワンピースを着た私。

血みどろになって、真っ赤な紋様が描かれている。

あぁ~。そっかぁ。死んだんだ。私。
理解理解。このまま死ぬ…

嫌だ…。
嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ嫌だ。

グイッと、私が天に昇るのを引き留めるかのように抵抗を感じる。

まるで、さっきまで軽かった私の身体に鎖が巻き付いているみたいに。

そうだよ…だってまだ死ネル訳ないじゃん。

私から逃げたアノ男だけは赦さない。

地上を見ると、事故が起こった現場からすぐ近く。
全裸の男が私の傍に駆け寄ろうとしているのを警察に取り押さえられていた。

あ~。みぃつけた。

私のことを心配して哀しんでくれているのかな?
でも、心配いらないよもう大丈夫。

私と一緒に逝こうね__

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Kara執筆小説『くすぐり憑き』

鈴菜は友人たちと集まって百物語とやらをやった。一晩かけて一人ずつ怪談を語っていくというあれだ。百個目の怪談を語り終えた時、何かが起きるというあれだ。
やろうと言い出したのが一体誰だったのかよく覚えていないが、ともかく”優木 鈴菜”とその友人八名は百物語をやったのだ。

鈴菜は普段から怪談に関して無関心だった。

夏になると思い出したかのように心霊番組を見たりする程度で、心霊に関する知識なんてほとんどなかった。

小中高の全てを陸上競技に捧げた鈴菜は大学生になった今もスポーツに関わることにしか興味がない。それ以外に興味があるとすれば、流行りのアーティストの推し活くらいだった。

そんな鈴菜にとって百物語は単なる遊びに過ぎなかった。
友人宅で開催された百物語では、一人十個以上怪談を持ち寄ると言うのが約束事だったが、鈴菜はインターネットに転がっている作者さえ分からない怪談を拾ってきてまるで自分の話であるかのように話した。

集まった友人のほとんどがそんな具合で怪談を披露していく中、一人、やけに張り切った友人が誰も聞いたことがないような話をした。

“くすぐり憑き”そんな題名の話だった。

それはこんな話だった。

ある日夢に手が出てくる。手は暗闇から伸びている。誰のものか分からない。手は美しい。スラリと細長く、爪も美しく長く整えられている。

翌日。その手が手招きをしている。

その翌日、鏡に女が映る。それは夢ではない。

鏡の中の女の影が自分の姿に重なったその瞬間、身体中の至る所に指や爪を這わされて、こちょこちょこちょこちょくすぐられているかのような感覚に襲われる。それは止まらない。息が出来なくなっても、肺が捩れそうになっても、止まらない。

頭の中に声が聞こえてくる。低めの、女性の声だそうだ。

私のことを話せ。出来るだけ沢山の人間に話せ。

そう言ってくる。拒絶すると、もっともっとくすぐったい目に遭わされる。

結局、女の言いなり通りに動くしかない。女の要求は徐々にエスカレートしていく。だが、拒絶はできない。死ぬほどのくすぐりによって強制的に従わされる。

車に突っ込め。

そんな命令が下った。

拒絶したが、そうはいかなかった。

という具合の話だ。

鈴菜は、どうもその話が頭が離れなかった。

なんせ、その話を語った友人が最後にこう言って話を締めたのだ。

「この話を聞いた人の元にね、”くすぐり憑き”がやってくるんだ。みんな、気をつけた方が良いよ」

彼女はそう言っていた。彼女なりの演出なのかどうか定かではないが、彼女は”くすぐり憑き”の話をしている最中、いや、部屋に集合した時からずっと身体をぴくぴくプルプル震わせていた。それもまた話の怖さを倍増させていた。

朝までかかった百物語が終わり、くたくたになった鈴菜は一人で住んでいるマンションに帰るなり、シャワーを浴びた。

髪を洗っている時、ふと背後が気になった。

何もいないのは分かってはいたが、目を開けて背後を振り向いてみたくなった。だが、目を開けるのも怖かった。目の前には鏡。そこに、女が映っていたらと考えると背筋に寒気を感じた。

早く目を開けたい。何もいないことを確認したい。鈴菜は黒くて長い髪についたシャンプーを必死に洗い落とす。
急いで洗い落とそうとすふが、いつもよりもシャンプーの落ちが悪い気がした。
焦れば焦るほど、髪にまだシャンプーが残っている気がして、無駄に何度も洗い落とそうとしてしまう。

ようやっと目を開けれた時、鏡には何も映っていなかった。

当然のことだ。

「ふぅ」

鈴菜はため息をついて湯船に浸かった。

ぎぃ。

音がして鈴菜は凍りついたように固まった。

音は外から聞こえた。脱衣所の、脱衣所のドアが開く音だ。

それが確かに、確かに聞こえた。

鈴菜は一人暮らしだ。部屋には誰もいない。いるはずがない。

鈴菜はしばらく固まったのち、きっとドアをしっかり閉め切っていなかったのだろうと考えて落ち着いた。

警戒しながら脱衣所に出る。鈴菜は陸上競技以外にも武道に打ち込んでいた時期もあるし、仮に犯罪者がいるならぶちのめしてやる覚悟だった。
だが、部屋には誰もいなかった。

節々にどっと疲れが溜まってもう歩くのもかったるくて仕方がない鈴菜は、すぐにベッドに潜り込んだ。眠りに落ちたのは早かった。

鈴菜が次に目覚めた時、一体、今が何時なのか分からなかった。

カーテンを閉め切った窓から差し込む外明かりはたんだか赤っぽくて、余計に時間が分からない。

少し冷静になって天井を見上げた時、鈴菜はゾッと寒気を感じ、蹴っ飛ばしていた掛け布団を咄嗟に引っ張り、布団で自分の身体を覆った。

何かいる。

自分が以外にもう一人、誰かがいる気配がする。

それが、人なのかどうかはともかくとして、その気配は確実にこの小さな部屋に漂っていた。

掛け布団にくるまった鈴菜は隙間から部屋を見渡した。何もいない。だが、やはり気配はある。
すごく近くに感じる。

怯えた鈴菜は、ベッドの上を転がって壁にぴたりと身体をくっつけた。

その瞬間、鈴菜は悲鳴をあげた。

自分が布団にくるまっていることも忘れて、飛び上がったせいで足先を壁にぶつけてしまった。

いた。

気配の主が、すぐ目の前にいたのだ。

ベッドと壁の間の、あるはずのない隙間。

そこから、女のものと思われる両手が顔を出していた。

見間違いかどうか。そんなことはどうだって良かった。鈴菜はもう一度、ぎゅっと布団にくるまったが、それさえも恐ろしくなって布団から抜け出した。

“くすぐり憑き”がやってきたのだ。

鈴菜は喉を震わせベッドから飛び出す。

アレだけは、アレだけは来て欲しくなかったのに!

鈴菜が”くすぐり憑き”を恐れていた理由がもう一つあった。それは、鈴菜はくすぐられることが本当に本当に本当に…大の苦手だったのだ。人がくすぐられるのを見るだけで震え上がるほどの、極度のくすぐったがりだったのだ。

死ぬほどくすぐってくる女の霊なんて、絶対に絶対に遭遇するのは御免だった。

ベッドから飛び出した鈴菜。だが、鈴菜は喉が絞められるような感覚に襲われ、逃げようとしていた身体は無理やり引き止められた。

背後から襟首を何かに掴まれたのだ。

抵抗する力もなく、鈴菜はベッドに戻される。

鈴菜「ひっ!」

仰向けに倒れた鈴菜を見下ろしていたのは、黒髪のスラリとした長身の女だった。顔はよくわからなかった。

強烈な椿油のニオイが鼻を突いた。

女は、鈴菜に跨ると、そのままズンッと馬乗りになった。

鈴菜は両手を振り回し、脚をバタつかせて抵抗する。声など出せなかった。

椿油のニオイを漂わせている女は、暴れている鈴菜の手を掴んだ。女の手は大きく、鈴菜の手を容易く飲み込んだ。

女の頭がガクンと垂れて鈴菜の目の前まで迫る。

「そこからとびおりろ」

女は唇を動かさないままそう言った。口からも、椿油のニオイがした。

女の言う”そこ”がどこを指すのか、それを考える余裕もない鈴菜だったが、それでも”飛び降りる”という言葉の意味くらいは理解できた。
鈴菜は首を横に振った。

「そこからとびおりろ」

女はまた言うと、鈴菜の手を解放した。かと思うと、手は宙を舞い、指先がウニョウニョと蠢き始めた。その様はまるで、宙をくすぐっているかのようだった。

大きな手に揃う指は細長く、やや骨張っている。指先は少し尖った形状になっており、伸ばされた爪も美しく整えられているように見えた。

鈴菜は思う。

この手指にこちょこちょくすぐられたら…

…なんでも言うことを聞いてしまいそうだ、と。

鈴菜が青ざめながら怯えていると、女からまたふわりと椿油の香りが漂った。
その次の瞬間、そのまま鈴菜の両腋の下に女の手がズクッと差し込まれた。

鈴菜「あ”ぃ”っ!!?」

鈴菜はようやく声を上げた。呻き声だった。身体がピクンと痙攣し、腰が浮いた。

腋の下には、冷たい女の生指が添えられており、異様なまでの不快感が走っている。

この指が動いたら、この爪が這い始めたら…考えるだけで寒気が止まらない。

鈴菜が力を振り絞って女を跳ね除け、逃げようとしたその時だった。

腋に差し込まれている女の指先に力が込められ、あの尖った形状の指先が、腋の下の神経を捉えた。

鈴菜「あひっっ!!?」

鈴菜の顔が歪む。

そして、女は口角をにいっと釣りあげて笑みを浮かべ、指を暴れさせた。

「こちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょぉぉぉ」

奇妙なこちょこちょボイスと共に、細長い指が一斉に動き出し、それぞれの指先で鈴菜の腋の下の神経をほぐしくすぐった。

鈴菜「ちょっ!?待っでっ!!あっ!!んにゃぁぁぁぁああああああああああああああああああああああああああああああ!!?あははは!?あはははははははははははははははは!!?あっっはははははははははははははははははははははははははははは!!まっで!!まっで!!まっでぇぇぇ!!っっへへへへはははははは!!!」

細長い指は器用にそれぞれバラバラに動き、指先で的確にくすぐったい神経を捉えたまま刺激していく。
くすぐったがりの鈴菜には堪らない刺激であり、鈴菜は壊れたようにベッドの上で暴れ出した。

「こちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょぉ〜」

女は暴れる鈴菜に体重をかけて抵抗を防ぎながら、腋の下を執拗にくすぐってくる。その指の動きは異様なくらいなめらかでまるで指そのものが独立した生物であるかのようだった。

鈴菜「にゃはははははは!!?あは!?あははははははははははははははははははははははは!!!くすぐっだぃっ!くすぐっだぃぃっ!!ぃひひ!!!ぃひひひひひはははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは!!!やめっ!!やめぇぇへへへへへへへへへへへへへはははは!!」

腰を浮かせたり、頭を振ったり、手脚を精一杯バタつかせて必死に抵抗する鈴菜。だが、女の冷たい指先に腋の下をごにょごにょこちょこちょ掻き回されれば、全身から一気に力が抜かれるようなくすぐったさに襲われ、なすすべもなく笑い悶えてしまう。

「そこからとびおりろ」

女はまた言った。それはさっきよりも低く、脅すような声だった。同時に、腋をくすぐる指さばきがまた一気に激化した。

こちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょ!!!!

鈴菜「ぶひぇひぇひぇひぇひぇっ!!?うひぇぇへへへへへへへへへへへはははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは!!!やだっ!!やだっ!!やだってぇぇ!!っっへははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは!!!いひははははははははははは!!」

女の、人を苦しめるためだけのくすぐり技に鈴菜は顔を真っ赤に染めて悶え苦しむ。
あまりにくすぐったい刺激を絶え間なく送り込まれ続けてベッドの上で必死に暴れていた鈴菜は、ごろんとベッドから転げ落ちた。
投げ出された女の身体が鈴菜から離れ、鈴菜はへろへろの身体に鞭を打って起き上がって逃げようとする。

だが、女が鈴菜の身体に飛びつき、四肢を組み付かせてきた。

鈴菜「ひぎぃっ!?」

鈴菜がバランスを崩し、壁に手をつく。

「ふくをぬげ」

女が耳元で囁く。

鈴菜「はぁ!はぁ!!そ、そんなの…」

鈴菜が拒否しようとすると、女はもう一度同じ文言を囁いたのち、腋の下にズクっと手を突っ込んでもう一度腋をこそばし回した。

こちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょ!!!

鈴菜「あひゃぁぁぁぁあああああああああああああああああああ!!?脱ぎますっ!!脱ぎますからぁぁぁああああ!!っっははははははははははははははははははははははははははははは!!!」

鈴菜はあっけなく心を折られ、女の言う通り服を脱いだ。下着も脱ぎ、鈴菜は裸になった。

裸になったところで鈴菜は最後のチャンスだと言わんばかりに逃げ出そうとした。

だが、女は背後から素早く鈴菜の首すじ、腋、そして腋のライン、脇腹に腹部を撫でまわした。

鈴菜「うひゃあっ!!?」

鈴菜の全身に鳥肌が立ち、身体がぐねぐねっとくねり、床に膝をついた。
最後に首を掴まれ、再び床に仰向けに押し倒される。

「そこからとびおりろ」

女が鈴菜に馬乗りになり、顔を覗き込む。女の重さは尋常ではなく、まるで巨岩のようだった。

鈴菜「はぁはぁはぁ…!それだけは…できないって言ってるでしょ!!」

鈴菜は、恐怖と怒りの入り混じった怒声を上げた。

だがその怒りは、女が見せつけたその細長い指によるワキワキウネウネとした”くすぐりの脅し”によって打ち消されてしまう。

鈴菜「うっ…!!?」

ウネウネ動く女の指が、剥き出しの鈴菜の引き締まった腹部に添えられた。

鈴菜「あ”ぃっ!?」

体脂肪率の低い腹部に冷たい生爪の先端が添えられ、鈴菜の顔が引き攣る。

さっきまでの衣服の上からのくすぐりとは全く違う、生の指先と生の爪の先に直接くすぐったい部位を捉えられているその感覚は、まさに”死”を感じさせた。

鈴菜「はぁ!はぁ!はぁ!!はぁ!!」
「待って…!待ってちょっと…」

自分はこれからヤバい目に遭わされる。ヤバいくすぐったさに見舞われる。そう感知した鈴菜は呼吸を乱し、喉を震わせながら懇願する。

女の細い指の関節がぴくぴく動き出す。くすぐり処刑執行5秒前だ。

鈴菜「ま、ま、待っでぇ!!」

鈴菜が涙を浮かべて叫んだその直後、

腹部に添えられた指先と爪の先が一斉に、腹部のくすぐったい神経を貪るようにゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショ!!!っとこしょぐり始めた。

鈴菜「かっ!!?ぎょぇぇぇへへへへへへへへへへへはははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは!!?ふひゃっ!!?ちょっ!?あっ!!!ぐるじっっ!!?ぃぃぃひひひひははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは!!!かはっ!?かはっ!!?」

そのくすぐったさは鈴菜から酸素を奪い上げた。
女がこの世のものでないことは確かだが、女の手指爪だけはまるでこの世のもののように生々しい。
ツルツルした硬い爪が腹部を這うのが気持ち悪くて仕方がなく、その気持ち悪さと呼吸困難に陥らせる類のくすぐったさのダブルコンボは鈴菜の精神を破壊していく。

ゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショ!!!

鈴菜「かはっ!!?あっ!!?っっはははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは!!?けほっ!!?ぐるじっっ!!?ぃひひひひひはははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは!!!あはっ!?かはっ!!?っっっはははははははははははははははははは!!!」

女の指は蜘蛛みたいに腹部を這い回り、爪の先でくすぐったい神経を掻き回していく。鈴菜は必死に酸素を取り込んで意識を保とうとするが、女の爪がそれを許さない。
鈴菜の顔がみるみるうちに青くなっていく。

「そこからとびおりろ」

女が椿油のニオイをさせて言った。

ゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショ!!!

鈴菜「ひゃっ!!かはっ!!あはっ!!?けほっ!!?くはっ!?っっはははははははははははははははははははははは!!ひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひひ!!?やっっ!!それはっっ!!それはっっ!!っっひひひひひはははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは!!?」

鈴菜の腹部の神経が女のくすぐったい爪によって嬲られていく。女の爪の先の尖り具合は、神経を捉えてくすぐるのにとても適した形であり、触れられるだけで飛び上がるほどのくすぐったさが走る。そんな爪に好き放題腹部をくすぐられてはたまらない。

「そこからとびおりろ」

女がこれまでで一番、低い声で言った。

それでも鈴菜が笑い悶えながら拒否すると、女は一度手を止めた。

鈴菜「ぶへぇ!!へぇ!へぇ!!へぇ!!はぁはぁはぁはぁはぁ…!!けほっ!!」

鈴菜は汗だくになりながら女を見る。

女の手指が宙をこちょこちょこちょこちょくすぐるように蠢いていた。その手は、なぜか油にまみれているかのようにヌメリを帯びていた。

鈴菜「はぁはぁはぁ…!ちょ、ちょっとまっで…もぅくすぐりは…」

鈴菜は顔を土気色に染め、絶望に満ちた顔で首をふるふると横に振る。

しかし、女はそのヌメリを帯びた指先爪先を鈴菜の身体に食らいつかせ、首、腋の下、脇腹、お腹を一斉にゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョ!!!っとくすぐり回した。

鈴菜「うわぁぁぁぁぁぁあああああはははははははははははははははははははははははははははははははははははははは!!?まっで!?まっでぇっ!!?まっでぇぇぇ!!!それやばいそれやばいそれやばぃぃぃぃぃぃっっ!!!けほっ!!?ぐるじぃっ!!ぃひひひひひひひはははははははははははははは!!ちょっ!?むりっ!!?むりっ!!あっ!!!あっっはははははははははははははははははははははははははははっ!!?」

土気色だった鈴菜の顔色が一気に真っ赤に染まり上がり、腹の底から悲痛な笑い声が響いた。
手足が千切れるくらい激しく四肢をバタつかせ、喉がおかしくなるくらいの笑い声を搾り上げている。

鈴菜「むりっっ!!ぃぃぃぃひひははははははははははははははははははは!!たすげでっ!!げっっ!!たすげでぇぇぇ!!!っっひひひひひひはははははははははははははははははははははははははははははははははははははは!!!じぬっ!!ぐるじぃっ!!じぬぅぅぅぅぅぅぅ!!!!ぅっひひひははははははははははははははははははははははははははははは!!!」

女の手はまるで高速くすぐりマシンのようであった。複数箇所をくすぐり回す速度は凄まじく、鈴菜にはほとんど同時に複数部位をくすぐられているようなくすぐったさが襲っていた。

ゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョゴチョ!!!

鈴菜「うげぇぇぇぇへへへへへへへへへへへへへはははははははははははははははははははははははははははははははははは!!むりむりむりぃぃぃぃ!!!っっひはははははははははははははははははははははは!!!わがっだ!!わがりまじだっ!!!とびまずっ!!とびまずがらっっ!!!とびまずがらぁぁぁぁぁああああははははははははははははははははははは!!!」

鈴菜がそう宣言すると、女はくすぐりをゆるめて馬乗りを止めた。鈴菜はベッドに手をついて立ち上がり、窓の方へ向かう。女はその間も、鈴菜の背中あたりに爪を這わせてこちょこちょこちょこちょくすぐっていた。
もし、途中で拒絶すればすぐにでもくすぐり処刑に引き戻すつもりなのだ。

もうくすぐられたくない。
その一心で鈴菜は窓を開けてベランダに転がるように飛び出した。
柵に手をついて下を覗き込む。
地上はそう遠くは見えないが、地面はとても硬そうだった。

催促するように背筋を人差し指の爪でなぞられた。

鈴菜はびくっと震え上がり、前のめりになる。

くすぐったさも何もかも忘れて鈴菜はベランダから身を乗り出した。

甲高い電子音が部屋から聞こえてきた。

アラームだった。

鈴菜はハッと我に帰り、咄嗟にベランダの柵を掴むと、筋肉がはち切れるような痛みもお構いなしに足で踏ん張ってベランダに転がり落ちた。

鈴菜「やめて!」

待ち構えているであろう女に制裁されると思っていた鈴菜はそう叫んで両腕で顔を覆った。

だが、そこに女はいなかった。

部屋にも、どこにも女はいない。

くすぐったさも、もうどこにも感じない。

鈴菜はベランダで仰向けに倒れたままため息をついた。
そして考える。
あのまま、言うことを聞いて飛び降りてしまっていたらどうなっていたのだろう。

曰くつきの怪談が嘘かまことか。それは聴く人間次第だ。
どんな怪談も必要以上に真に受けるのはよしておくのが賢明なのだ。

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Kara小説への批評

栞です!
ここまで1ページ目に私の作品、2ページ目にKaraさんの作品をそれぞれ読み比べてみて、皆様いかがでしたか?

同じ『幽霊』というテーマでも、小説家の作風によってガラッと作品に違いが出るということを感じて頂けたのではないでしょうか。

さて、本ページではKaraさんの作品に対する私なりの解説と批評を行っていきたいと思います。

より「深く」作品の魅力を掘り下げ、小説を読む際の一例として受け取って頂けたらなと思います!

【Karaさんの作風について】
もしかしたらKaraさんという小説家を初めて知ったよ~!という方もいるかもしれないので、簡単にご紹介していきます。

pixivで主にホラー系のくすぐり小説を書いている方で、f/f(女性責め/女性受け)をメインとした作品が多いです。

ちなみに今回のコラボ企画では『幽霊』というテーマであればf/mでもf/fでも責め手と受け手の性別に関しては自由ということにしています。

Karaさんの作品における特徴として、大きく2つ上げられます。1つめの特徴として、
“しっかりと設定を提示した上で長編のストーリーを作っていく”ところだと私は考えています。

これは本当に小説家によっては様々で、「何を大切にしているのか」という哲学やモットーが現れるポイントです。

登場人物の名前や性格など、きちんとした人物像を読者に提示した上で物語を進めていくKaraさんのスタイルは、私から見ると「凄く優しい」なと感じています。

また、2つめの特徴として”くすぐり描写の多彩さ”が挙げられます。後にも解説しますが、くすぐりの表現や描写力は小説家の中でも群を抜いて上手だと思っています。

まずは上記2つの特徴を押さえて頂けたらなと思います!

【ストーリーの起承転結について】
さて、今回のコラボ企画でKaraさんに書いて頂いた「くすぐり憑き」というお話について全体を整理して見ていきましょう。

Karaさんの作品における特徴として、しっかりと設定を提示した上で長編のストーリーを書くところを挙げましたが、今回は割といきなりスパッと”百物語”をしているところから始まっていきます。

怪談の中でも割と王道の展開。

登場人物として中心になるのが、
主人公である”優木 鈴菜”と、”くすぐり憑き”の女性。

この鈴菜に関しても、冒頭において下記のように必要最低限な紹介に留められています。
・小中校と陸上をやっていた
・現在は女子大生
・興味は流行りのアーティストの推し活

『幽霊』に関してはあまり信じておらず、友人8人と朝まで行った百物語もほんの遊び程度に捉えている。

しかし、その中の1人が語った”くすぐり憑き”の話を聞いたことで、鈴菜の元に”くすぐり憑き”がやってくる…

大体そのような流れで物語が進み、メインのくすぐりシーン、結末へと向かいます。

個人的に小説の基本とは「起承転結」であると考えているので、本当に基本に沿った小説構成になっており誰が読んでも分かりやすい作品になっているのではないかと思います。

しかし、少し厳しい指摘をするのであれば「オチが弱い」。
Karaさんの普段の作品と比べると、やっぱり”物足りなさ”というか”パンチの無さ”を感じてしまいます。

でもこれは企画の性質上ある程度仕方ないかなと思えるところはあって、今回は”作品の読み比べ”に重きを置いているため、文字数の上限は1万文字程度と設定しています。

普段10万~30万文字の作品を書いているKaraさんにとって、10分の1、30分の1で物語を纏めるというのは恐らく今回が初めてだったのではないでしょうか。

そのため、今回の作品に関しては必要最低限な箇所を”ぎゅっ”と要約したような印象を受けます。

結末だけを見ると、
「なぜ突然アラームが鳴ったのか」
「なぜ鈴菜は助かったのか」
「”くすぐり憑き”の正体とは何だったのか」
と言った疑問が残ります。

個人的には「力技で強引に締めたな…?\(^o^)/」
と思う反面、物語に”含み”を持たせるという手法を採り入れたKaraさんの”挑戦する姿勢”も読み取ることができました。

普段のKaraさんの作品では本当に丁寧にキチッと結末まで書いていますが、今回はある程度読者にも考えてもらえるような”委ねる”という締めであり、文字数制限があったからこそ新しいKara作品の一面を見たような気がします。

【Karaさんの考える『幽霊』】
今回のテーマである『幽霊』について解説していきます。
そもそも何でこのテーマにしたのかというと、一番大きな理由は私とKaraさんの作風の違いがより明確になると考えたからです。

“現実世界のリアリティ”を重視する私に対して、ホラーを得意とするKaraさんの世界観は”ファンタジー”な雰囲気があります。

日本的な怖さのある『幽霊』から、西洋の「お化け」まで結構幅広くKaraさんの作品には”この世ならざるもの”が登場しますが、大きな特徴としてはしっかりと”実体”を持って”物理的に”干渉してきて”コミュニケーション”を取ってくる『幽霊』が多いです。

今回の「くすぐり憑き」に出てくるのは、日本的な女性の『幽霊』ですが、他のKaraさんの作品に出てくる『幽霊』とは毛色が違うなと思いました。

すなわち、”純粋に悪意を持ってくすぐってくる”幽霊。
悪霊と言い換えてもいいかもしれません。

Karaさんのほとんどの作品では、くすぐりを”更正の手段”として用いる描写が登場します。

反抗的な態度を取ったり、悪いことをしたら『幽霊』が人間をこちょこちょして「ごめんなさい」させるみたいなシーンも多いです。

しかし今回の作品では、”くすぐり憑き”は鈴菜に「とびおりろ」という命令する形でくすぐって無理やり言うことを聞かせるような描写になっています。

ではなぜ、「とびおりる」ことに拘ったのだろうか。

恐らく正解があるわけでは無いと思います。
ここからはKaraさんが取り入れた”含み”に関する私の個人的な考察になるので、参考程度にして皆様にも考えて頂けたらなと思います。

**考察
物語冒頭の百物語シーンで、”くすぐり憑き”の目的は以下のように語られています。

「私のことを話せ。出来るだけ沢山の人に話せ。」と。

そうであるならば、単純に考えて”くすぐり憑き”は鈴菜に「とびおりろ」と命じて自死させる必要は無い筈です。

物理的に死ぬほどくすぐって無理やり言うことを聞かせ、他の人間に話して貰えれば目的は達成できるから。

ただ、”くすぐり憑き”に憑かれた者は死ななければならない何かがある。

冒頭の百物語シーンの続きを見ていきましょう。

少し長くなりますが、そのまま引用します。

「結局、女の言いなり通りに動くしかない。女の要求は徐々にエスカレートしていく。だが、拒絶はできない。死ぬほどのくすぐりによって強制的に従わされる。

車に突っ込め。

そんな命令が下った。

拒絶したが、そうはいかなかった。」

この話を聞いた後、鈴奈の元に現れた”くすぐり憑き”の状況とも一致します。

「服を脱げ」という要求から、「とびおりろ」という拒絶はできない命令を受けることになる。

百物語で”くすぐり憑き”の話をした友人の話に戻ると、最終的には「車に突っ込め」という命令が下り、拒絶したが、そうはいかなかった。

とすれば、友人は果たして”生きている存在”だったのか。

“くすぐり憑き”自身の存在を世に広めるため、憑いた相手を殺して身体を乗っ取る必要があったからこそ、鈴菜に対しても執拗なまでに「とびおりろ」と命じたのではないだろうか。

あくまでこれは1つの考察にすぎず、Karaさんの締めをお借りすると、
「どんな怪談も必要以上に真に受けるのはよしておくのが賢明」なのかもしれませんね…。

【くすぐり描写について】
最後に、Karaさんの作品におけるくすぐり描写について解説させて頂きたいと思います。

くすぐり小説家にとって、最も個性が表れるのがくすぐりシーンであり、ここを読むだけでもその人の文章力や力量が分かってしまう部分であると考えています。

Karaさんのくすぐり描写は、何と言っても”ハード”。
他の作品を読んでいる方であれば、今回のコラボ作品におけるくすぐり描写は大分優しい方だなと感じた人も多いのではないでしょうか。

また、Karaさんの凄いところは責め方の描写が凄く丁寧で細かいところです。

例えば、腋の下は「こちょこちょごにょごにょ」と掻き回すように、脇腹は「ゴチョゴチョ!」と揉みほぐすようにとか、何というかオノマトペの語彙が豊富。

もちろんそれだけではなく、「どこをどうくすぐったら相手を笑い苦しめさせられるのか」を知り尽くしたような読んでいるだけでもくすぐったく感じる責め描写を多彩に書いています。

また、受け手側の笑い声や、くすぐったさの表現なども本当に丁寧に丁寧に、それでいてボリュームたっぷり書いているところが個人的には凄いなと思います。

さて、では少し小説のテクニック的な話になりますが、
今回のKaraさんのくすぐり描写を一部引用しましょう。

ゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショゴショ!!!

鈴菜「かはっ!!?あっ!!?っっはははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは!!?けほっ!!?ぐるじっっ!!?ぃひひひひひはははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははははは!!!あはっ!?かはっ!!?っっっはははははははははははははははははは!!!」

こういったくすぐり描写の技法をKaraさんはほぼ全ての作品に取り入れていますが、この書き方にはもちろんメリットデメリットがあると私は考えています。

メリットとしては、
・ハードなくすぐり描写であるという迫力が出る
・笑い声を長く書くことで、くすぐったさの緊迫感が出る

と言った点が挙げられ、反対にデメリットとしては

デメリット
・同じ文字を繰り返すことでワンパターンになる
・文字数がかさむ
・可読性が下がりテンポが悪くなる
・シリアスな場面なのにコミカルな雰囲気になる場合がある
等があるかと思います。

なので、Karaさんのくすぐり描写は簡単に真似できそうに見えて結構難しいと思います。

メリットデメリットありますが、Karaさんの場合はその辺りのバランス感覚が非常に優れているため、くすぐり描写に関してはトップクラスに上手な作家であると言えます。

ただし、それは文字数制限の無い通常の作品においての話。

今回のコラボ企画では1万文字という文字数の制限があるため、これも仕方ない部分ではありますが少し厳しく評価をすると今回の作品の場合は「中途半端」になっていると思いました。

普段の作品と比べて笑い声の描写等、少し文字数を抑えているため、どうしても「迫力」や「場面の緊迫感」に欠ける部分があり、Karaさんらしさも半減しているように思います。

中々難しいところではあると思いますが、もし私がKaraさんっぽく書くのであれば笑い声や「こちょこちょ」等のオノマトペを2,3行に削り、その浮いた文字数でストーリーの序盤や結末をしっかり仕上げます。

この辺りは多分本当に私とKaraさんで考え方が大きく異なるところだと思います。

Karaさんの場合は、ストーリー性よりも”ハードなくすぐり描写”を今回の企画において限られた文字数の中でどう魅せていくのかを重視した結果だと考えられるので、笑い声の描写に関しても信条を貫いているなと私は受けとりました。

【まとめ】
ここまでKaraさんの作品「くすぐり憑き」について解説・批評を書いてきましたが、いかがでしょうか?

私がこの作品を初見で読んだ時の感想としては、
「Karaさんの特徴をコンパクトにまとめているな」と言ったところです。

色々書きましたが、Karaさんらしさが随所に現れている中で、これまでの他作品とは違った「挑戦」も読み取ることができて意外であり、嬉しいような気持ちもありました。

今回のコラボ企画を通してKaraさんという作家を初めて知った人は、ぜひぜひ他の作品も読んでみて欲しいです!

恐らくKaraさん側の批評・感想と比べると大分短いかと思われますが、この辺りで締めさせて頂きたいなと思います。

ありがとうございました!

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おわりに

コラボ企画についてはこのページで最後となりますが、もう少しだけ補足や感想等お話させてください!

【今回のコラボ企画について】
今回Karaさんとコラボ企画という形でpixivに作品を無事投稿することができましたが、実はKaraさんと「何かをやる」という意味合いだと今回が2回目となります。

もっとKaraさんについて詳しく知りたい!という方がいましたら、noteに私から見たKaraさんの解説や、インタビューも載せていますのでよければご覧ください(無料です)。

【note】鬼才のくすぐり小説家「Kara」さんの魅力について

この記事を出した後、去年の秋頃に何となくKaraさんとリプで「コラボ小説したいね~」みたいな話をしていて、しばらく時間が経って今年の3月半ば頃唐突に今回の企画を思い付いたので、そこから約5ヶ月かけて1つの作品にすることができました。

たまにくすぐり小説家×絵師がコラボした作品は見かけますし、私も過去にやったことがあります。

しかし、小説家×小説家がコラボした作品は今回が史上初なのではないかと思っています。

なぜ、小説家同士がコラボした作品が存在しないのかというと、単純に難しいし時間がかかるからだと考えています。

私とKaraさんは、本当に真逆の小説家です。
作風はもちろん、執筆スタイルや考え方も異なります。

私はKaraさんのような小説を書けないし、Karaさんも私のような小説を書けないと思います。

だからこそ、今回は2人で共同執筆のような形で1つの物語を作るのではなく、”読み比べ”という形で違いを際立たせたいと思いました。

同じ『幽霊』というテーマであっても、小説家によって全く異なる作品が生まれる。それこそが小説というジャンルの奥深さではないでしょうか。

読者の皆様には、作者が何を大切にしているのかという思想に目を向けて欲しい。

これまでくすぐり小説を読んだことがなく、今回の企画で初めて触れたという方には、くすぐりという性癖の奥深さを知って欲しい。

小説を書いてる・書きたいと思っている人には、今回私やKaraさんの書いた批評を通して参考にできるところはぜひ参考にして欲しい。

今回のコラボ企画を通して、くすぐり小説の奥深さや創作の面白さを知って頂ける機会になりましたら幸いです。

【栞作品における「現実至上主義」とは何か】
私が小説を書き始めた時から、自分の中で貫いてきたのが「現実至上主義」という考え方です。

FANBOXの記事でちらっと解説したことはありますが、良い機会なので改めてお伝えさせてください。

意味合い的には文字通り、「現実世界のリアリティ」をできる限り小説においても追求したいと私は考えています。

その中でも、登場人物の心理的な内面を詳しく書くことが多いです。

また、「現実至上主義」とは物語の設定にリアリティを出すことだけではなく、小説を読んでいる読者(あなた)自身を意識して書いています。

私事わたくしごと/rt>のように小説の世界に出てくる登場人物と意識を重ね合わせて読んで欲しいという思いから、今回執筆した『走馬灯』や他の作品でもなるべく人物名を出さないことが多いです。

また、Karaさんの批評部分で”含み”についての話をしましたが、くすぐり描写における”笑い声”においても現実の読者自身に自由に頭の中でイメージして欲しいと考え、あえて書かないようにしました。

そして今回のテーマになぜ『幽霊』を選んだのかというと、私とKaraさんの違いが明確に表れるからですが、補足しておくと私は『幽霊』に対して今回「中立的立場」を取っています。

すなわち、”幽霊は存在しないとは言えないが、存在するとも言えない”のではないか。

現実至上主義の立場からすると、『幽霊』も元を辿れば「生きた人間」であり、”死”してなお現世に執着する存在であると定義しました。

いや、そもそも「死」とはどのような意味なのだろうか。

『走馬灯』において散りばめているので、後は皆様自身で読み取って頂けたらなと思います!

**9月1日追記
pixivFANBOXにてご支援者様向けに今回のコラボ企画『走馬灯』についての作品解説記事を投稿しました。
勿論、これが読み方の正解という訳ではありませんが、作者として作品の中で伝えたかったことやコラボ企画の原案を思い付いたきっかけとなったものなど、裏話的なことも書いているので、もしご興味のある方は読んで頂けると幸いです!
リンク:

【FANBOX】コラボ企画『走馬灯』についての解説

【さいごに】
最後となりますが、今回快くコラボ企画の提案を受け入れ、お忙しい中作品の執筆や表紙絵を描いて頂いたKaraさん!
本当にありがとうございました!!

小説家としても人間性の部分でも本当に凄い人だなと尊敬しています。今回コラボという形で作品を投稿できたことに、本当に感謝しています!

また、平素より小説を読んで頂いている読者の皆様にも感謝申し上げます!ぜひ今回のコラボ企画や作品について感想やコメント等頂けると私もKaraさんも幸いに思います!

Karaさん側の投稿では、3ページ目に私の作品に対する感想・批評を書いて頂いてますので、ぜひそちらも読んでみてください!

ちなみにコラボ企画の制作流れで、私とKaraさんで原稿を交換した後、3ページ目以降を書いてお互いその内容を知らないままpixivに作品を同時投稿しています。

なので、投稿時点でKaraさんがどんな感想を書いているのか私も分かりません!この後楽しみに読みに行こうと思います!
【Karaさん側のpixiv投稿はこちら】

Kara×栞コラボ小説企画

最後までお読み頂きありがとうございました。

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