くすぐり拷問師の家系

ジャンル:お姉ちゃんとの思い出 / 公開日:2021/08/14 /
幼い頃、母親が何の仕事をしているのかよく知らなかった。それは3歳上の姉も同じだと思っていた。
母は仕事で家に居ない日が多く、月に2,3日帰るか帰らないかくらいの生活。
帰って来たと思っても、いつも寝不足気味で
「少し休むね」って言ってずっとベッドで寝ていることも多かった。
姉は優しく、「お母さん疲れてるみたいだし、あっちでお姉ちゃんと遊ぼ?」と声をかけてくれた。
一体何の仕事をしているのだろうという疑問はあったが、忙しくて帰れないくらい、すごい仕事をしているに違いないと幼心に感じていた。
ある日、母に直接聞いてみた時があった。
「ねぇ、お母さん」
「ん~?どうしたの?」
「お母さんって、何のお仕事してるの?」
すぐには質問に答えずに、ニッコリとして頭を撫でる母。そして……
「こちょこちょこちょこちょ~♪」
「ひっ!?ひゃぁぁっははは!!ひゃめてぇぇぁっははくしゅぐったい!!!あぁっははは!!」
不意打ちで首筋をこちょこちょとくすぐったり、
脇腹をモミモミされたり、万歳させられて腋の下をカリカリされる。
幼稚園で同級生の女の子にくすぐられたり、お姉ちゃんにくすぐられるより何倍も何倍も母はくすぐりが上手く、死ぬほどくすぐったかった。
「あっ、ごめんごめん。もう少し手加減してあげればよかったね」
「はぁ…はぁ…ひっ…ひゃぅ…」
時間にしてほんの数十秒の出来事だったと思うが、
全身の力が抜けて汗だくで息も絶え絶えになる程、体力を消耗していた。
「お母さんの仕事はね、隠し事をする悪い人をこちょこちょする仕事なんだよ。”拷問師”って言うんだけどね。」
「ごう…もんし…?」
「そう。人を沢山くすぐって素直にさせちゃうお仕事。…中々家に帰れなくてごめんね。もう少ししたらいっぱい休めるから、もう少しだけ辛抱してね」
…きっと、悪い人を懲らしめるような、大事な仕事をしているのだと解釈した。
後日、お姉ちゃんに”ごうもんし”についてどんな仕事なのか聞いてみたけど、あまり具体的なことは教えてくれなかった。
この時既に、お姉ちゃんは拷問師の卵であることを知らなかった。
…………
俺が中学1年生の時、姉は15歳で国家資格である拷問師の予備試験に合格していた。試験の内容は詳しく知らないが、実技と筆記で3日間行われる。
予備試験に合格後、3年間見習いとしてプロの拷問師の下で経験を積んだ後、本試験を合格して初めて拷問師として認められるらしい。
予備試験に合格する平均年齢は大学を卒業した22~25歳らしい。10代での合格率は3%未満。
母の遺伝子を継いだ姉は、間違いなく、くすぐりの天才であった。
高校生の姉は土日になると、泊まりがけで母の仕事に付いていくことが増えた。
その為、土日は家で一人になることも多々あり、
こっそり家を抜け出して夜遊びしていた。
中学2年生になると、反抗期もあり深夜に出かける頻度も増えて行き、学校もサボりがちになっていた。
ある日、そんな様子を見かねた姉に呼び出された。
幼い頃は姉と喧嘩しても一回も勝てず、くすぐり泣かされることが多かったが、成長した今の自分なら負ける筈がないとたかをくくっていた。
久々に姉の部屋に入る。
「なんだよ。何か用?」
「…何?姉に向かってその言葉遣いは?
最近反抗期か知らないけど、調子乗るなよ?」
「ちっ…うるせぇな、関係ないだろ!」
思わず強気な言葉が出てしまう。引くに引けない。
「ふ~ん…そういうこと言うんだ?久々に躾してあげる。大人しく万歳して?」
(あっ…恐い……)
昔を思い出して思わず背筋が凍り付く。
謝るなら今しかないが、プライドが許さなかった。
「だ…誰が万歳するかよ…女だからって容赦しないぞ!」
「ふふっ♪恐い?声と身体、震えてるよ?」
一歩も動くことができず、気づけば姉に押し倒されていた。
うつ伏せにされ、いつの間にやら縄で両腕を後手に縛られていた。どこで習ったんだろ…
「は…はなせよ!!姉ちゃんのばか!!あほ!!」
「女に押さえつけられて幼稚な言葉で罵倒するしかできないの恥ずかしいね?…反省しな?」
こちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょこちょ~♪
「っっ!?ぁぁっぎゃぁっはははははは!!!ひゃだぁぁぁひゃめてぇぇしぬぅぅ!!息が!!いきできないからぁぁぁぁっはははははは!?」
脇腹のツボを両側から指で的確にモミモミされ、
1秒も我慢できず強制的に笑わせられる。
あまりのくすぐったさに脳がパニックになり、
目に涙が溢れる。
文字通り死ぬほどくすぐったい感覚を、嫌と言うほど身体に刻み込まれる。
上から頭を押さえつけられて、耳に息を吹きかけられたり、「こちょこちょ」と呟かれながら首筋を5本の指で徹底的にくすぐられたり、
脇の間に手を入れて指をカリカリと動かされて
死ぬほどくすぐられる。
(くすぐったいくすぐったいくすぐったい!!!)
目の前が火花でバチバチとして、頭の中がくすぐったいで埋め尽くされる。
これ以上くすぐられたら…本当にヤバい…
そう思ったタイミングで、ピタッと指を止める姉。
現実に引き戻され、「ぜぇ…ぜぇ…」と呼吸を整える。まるでトライアスロンをしたかのように体力を使い果たしていた。
仰向けに転がされ、お姉ちゃんに上からじっと顔を見下ろされる。
「どう?くすぐったい?少しは反省した?」
「…は、はんせぃしましたからぁ…ゆ、ゆるひて」
「お姉ちゃんに生意気な態度取ってごめんなさいは?」
「ごめんなしゃい…ごめんなさぃ」
「あと、ちゃんと学校も行くって約束する?」
指を目の前でワキワキさせられる。
「ひぃぃ!?や、約束しますからぁ!」
ニッコリとして頭を撫でる姉。
ようやく解放される…その希望はすぐに破られた。
「よしよし、いい子ね♪…ところで、一つ聞きそびれたんだけど、最近深夜にどこ行って何をしているの?」
ギクリとする……
「し、深夜って…なんのことだろ、ははっ…」
「そっか…そんなに私にくすぐり殺されたいんだ♪」
「ち、ちがいまひゃぁぁぁぁっははははは!!!ぁぁぁぁっいやぁぁぁぁぁもうくしゅぐりはやだぁぁぁぁぁ!!!!!」
その後30分の間、ノンストップで死ぬほどくすぐられた。首筋、腋の下、脇腹、足の裏も容赦なくくすぐられ、太ももやあそこ、お尻などの恥ずかしいところをパンツの上から発狂するほどこちょこちょ…
二度と深夜に散歩しないことを約束し、ようやく解放されるころにはお姉ちゃんに逆らえなくなっていた。
全身にくすぐったい感覚を刻み付けられ、トラウマになる程のくすぐりだったが、姉にとっては全然本気を出していないお遊び程度だという。
実際のくすぐり拷問では、被疑者を最低3日間、長くて1週間から1ヶ月くすぐって自白させるそうだ。
拷問中は”気が狂うことも許されない”らしい。
もしプロの拷問師にくすぐられたら……
考えるだけでもゾッとして、身体中くすぐったい感覚に襲われた。