雷の夜お姉ちゃんと母を待つ話

ジャンル:お姉ちゃんとの思い出 / 公開日:2018/02/28 /
幼い頃の記憶。確か、小学校に行く前くらいの時の話。その日は朝から強い嵐で、お姉ちゃんと二人で、母親の帰りを待っていた。
「…ひぃ!!!」
外から落雷の音が聞こえる。
とても大きくて、怖い音。
耳を塞ぎ、じっと丸くなって布団の中に隠れていた。
「…ねえ、大丈夫…?」
布団の外から、お姉ちゃんの声がする。
いつもより優しげな声。
普段のお姉ちゃんは、怒りっぽいというか、
喧嘩したり何か悪いことをすると、泣いて謝るまでこちょこちょしてくる…。
だけど、嵐の日だけは、少し優しかった。
「お姉ちゃん…雷…怖くないの…?」
「怖くないよ。お姉ちゃんがいるから、布団から顔を出して?大丈夫だから。」
おそるおそる布団から顔を出すと、ベッドに腰かけていたお姉ちゃんがそっと頭を撫でてくれた。
窓を見ると、相変わらずすごい雨。木が風で大きく揺れている…。
「ひゃあ!!!」
…また、近くで雷が落ちた音がする。
出した顔を引っ込めて、また布団の中でまるまって震えていると…布団の隙間からお姉ちゃんが潜り込んできて、後ろからそっと抱きしめてきた。
「お姉ちゃん…?」
「お姉ちゃんがいるから、もう雷怖くないでしょ?」
「でも、雷は怖いよ…」
耳元で話しかけられる。息がくすぐったい…
早くどこかにいって欲しいな…
そんなことを考えていると、
「そう…?そんなに雷が怖いの?じゃあ…雷が怖くなくなるように、楽しいことしよっか!」
「たのしいこと…?へ、ぎゃはははははは!!!あははははは!!くすぐったいからぁ!!こちょこちょやめへぇぇ!!!」
薄いパジャマの上から、脇腹をこちょこちょとくすぐられ、手や足をバタバタさせている内に、布団が下に落ちてしまった。
次第に足を伸ばしてうつ伏せの状態になり、
その上にお姉ちゃんが寝そべって脇腹や首筋、脇の下をくすぐってくる。
3歳の年の差は大きい。体格差から、どんなに暴れても上に乗っているお姉ちゃんから逃れることはできなかった。
「こちょこちょ~!!どう?楽しい?それともまだ雷が怖い?」
「あははははは!!雷は怖いってばぁ!!!あぁははは!!そこやめ、やめてぇぇ!!」
「そうなんだぁ~。じゃあ怖くなくなるまで、もっと楽しいことしてあげるね?」
こちょこちょこちょ~!!!
お姉ちゃんは楽しそうに「こちょこちょ」言いながら、さらにあばら骨の間を指でぐりぐりしたり、脇の下の窪みをこちょこちょと弄られ、電流が走ったように笑い悶える。
「ひゃははははは!!もうや、やめへへへへへ!!!かみなりこわくないからぁ!!!あははははは!!息がくるしぃからぁ!!」
すると、ようやくこちょこちょしていた指が離れていった。息がくるしくて、しんどくて、頭の中が真っ白だった。
「どう?楽しかったでしょ?もう雷怖くないよね?」
「…はぁ…はぁ…こわ…くないです…はぁ…ぁぁ………ひぃぃ!!!!」
その時、また大きな雷の音が聞こえ、条件反射で悲鳴をあげてしまった。
「あれ…?雷怖くないのにどうして怯えてるのかな。…もっとお姉ちゃんと楽しいことしたいの?」
ちが、ちがうって!!こわくないから、もうこちょこちょはやめて!!おねが…ぎゃははははは!!あ~ははははは!!そこはだめぇ!!!ぎゃはははははは!!!
お姉ちゃんは体勢を変えて、後ろ向きに座って足の裏を片手で固定し、もう片方の手でこちょこちょしてきた。靴下を脱がされて、素足にされる。敏感な足の裏を、動けないように固定されてさわさわ…ガリガリ…こちょこちょと素早くくすぐられるのは、我慢できない刺激だった。
「こちょこちょこちょこちょ~!!…もしかして、お姉ちゃんにくすぐられたくなくて嘘ついたのかな、雷怖くないって。そんな悪い子はお仕置きしてあげるね?」
あははははは!!ひぃ!!ちが、違うってば!!もうこわくないからやめてぇぇ!!ぎゃはははははは!!!ごめんなさぁい!!
足首の上に座り、両手で両足の裏をこちょこちょ…。何も考えられないくらいくすぐったくて、もう嵐の風の音や、雷の音も気にならなくなっていた。
「ぜぇ…はぁ…はぁ…あひひ…はぁ…」
「足の裏、ピクピクしてる。どうだった?
楽しかったでしょ?もう、雷怖くないよね?」
くすぐりからようやく解放されて、仰向けになって息を整えていた。その顔を見つめながら、手をこちょこちょと動かす様子を見せつけられると…
「ひぃ…!!こわく、ないです…やめ…。」
くすぐられ続けた疲労から、そこで意識は途切れた…。
「おやすみ…お姉ちゃんも、傍で寝てあげるね…。」
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夕方には嵐が通りすぎ、雲の隙間から夕陽が射し込んでいた。
「ただいま~!!ごめんね~帰るの遅くなって、大丈夫だった…ってあれ?珍しい…」
母親が帰ってくるまで、夢を見ていた。